富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は、このほど開いた記者懇談会の中で、「空き家対策の大きな施策の1つである中古流通活性化に向け、新築促進策(住宅ローン減税、賃貸建設の節税メリット)を縮小し、その分を中古住宅分野に振り分けるべきだ」と語った。
「空き家の最新動向と今後の住宅政策」の議論の中で述べられたもので、今後、年間80万戸程度の新設住宅着工戸数が継続すれば、2030年までには現在約13.1%の空き家率が25%前後に拡大すると予測。13%という数字が、何らかの方策を取らなければならないレベルに達していることを考えると、「25%の空き家率は、1つの町の消滅が危惧される数字」(米山氏)だ。そのため、買い取り再販リフォーム促進税制の新設、中古住宅改修に対する助成など中古税制優遇拡充のほか、優良な賃貸物件の家賃所得控除といった施策を取り、既存ストック活用の大きな流れにシフトさせる必要性を説いた。また、「人口が減少していく中では、市街地の縮小を図っていく必要がある。郊外居住者を中心市街地の空き家に転居させる施策も必要」と語った。