政策

大言小語 乗ったら「つかまる」

 東京と大阪で違うもの。いつも戸惑うのがエスカレーターの乗り方だ。どちらも急ぐ人のために片側を開けるが、左に寄って右側を開けるのが東京で、逆が大阪。不慣れな人や体が不自由で寄りづらい人は〝迷惑〟扱いされてしまう。

 ▼エスカレーターは本来、歩くためのものではない。誰かが良かれと思ってやったことが習慣となり、それがまかり通ったもので本末転倒なのだ。おかげでバランスを崩して転倒したり、接触によるトラブルや事故が絶えない。急ぐ人は「階段を」という声があっても効き目はない。偏った使い方は機械設備寿命にも影響があるため、鉄道会社では「歩かない」よう呼びかけてきたが、こちらも広まる気配はない。

 ▼そんな中、全国の鉄道会社・交通局、商業施設などが7月21日から「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを始めた。期間は8月31日まで。利用者の安全確保を第一に、エスカレーターに乗ったら右手でも左手でもつかみやすい手で「手すり」をつかんでもらうもの。そうすれば立ち止まり誰も歩かない。定着することで体の不自由な人や高齢者らに対する想像力や安全性の意識も高まるだろう。

 ▼ところが一週間経っても通勤風景は変わらず、キャンペーンもやっているのか分からないのはどうしたことか。もっと堂々と、かつ粘り強く「乗ったらつかまる」運動を進めていく必要がある。