政策

被災マンションの解体決議、「全員同意」から「5分の4」に緩和へ

 法務省・法制審議会の専門部会はこのほど、被災マンションの取壊し決議要件を法律に盛り込むことなどを内容とする「中間とりまとめ」を発表した。

 それによると、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物について、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数決により、建物を取り壊す旨の決議ができる制度(取壊し決議制度)を「被災マンション法(正式名称=被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法)」に設けるとした。これまで必要とされていた「全員同意」の要件を緩和するものだ。

 阪神・淡路大震災をきっかけに制定された被災マンション法は、「建物再建」を前提とした特別法で、区分所有法も、建物を取り壊して(解体して)区分所有関係を清算する規定は定められていない。そのため、解体の場合については民法原則が適用され、民法で定められた「区分所有者全員の同意」が必要だということになる。今回の改正内容は、災害によってマンションが重大な被害を受けた場合に、費用負担の問題もしくはその地理的条件などから多くの区分所有者が取り壊しを望んでいた場合に対応できる体制の構築を図ったものだ。

 なお、この中間とりまとめの内容について、12月初旬頃までパブリックコメントを実施し、広く意見を集める。その結果を基に12月下旬から専門部会を再開し、来年1月下旬には改正要綱をまとめたい考えだ。早ければ来年の次期通常国会で、これらの改正内容を盛り込んだ被災マンション法改正案が審議されることになる。