ど素人から金持ち大家さんになった人々

第16回 日本政策金融公庫でフルローンを受ける方法とメンターの選び方

上総百万石さんのプロフィール
1979年、神奈川県生まれ。高校時代に趣味を生かしたビジネスをスタート。1999年にロバート・キヨサキの本に出会い、不動産投資の勉強を開始。2010年からボロ戸建てやアパートなど、超高利回りの木造物件ばかりを買い始める。2011年に結婚(夫32才、妻24才)。本業も不動産投資も妻と二人三脚で取り組んでいる。家賃年収は約1,400万円。

ネコミミさんのプロフィール
1987年、東京都生まれ。高校時代にアキバ系イベントで上総百万石さんと出会い、仕事を手伝うようになる。本業では夫の右腕として活躍。不動産投資ではリフォーム担当として手腕を振るっている。

■ 実験用物件を買って不動産投資の経験値とスキルを上げる

――所有物件を見ると、中古の戸建て、新築の事業物件、中古のアパートという風に、色々な物件を買われていますね。何か理由はあるのですか?

上総百万石さん 
賃貸における全パターンをマスターしたいと思い、あえて違う種類の物件を購入しました。築年数も新築から50年超えまで様々です。それだけでなく、業者さんの仕事を見たり、自分でやったり、施工費用を把握したりするための「実験用物件」も自宅近くに買いました。二人の間ではこれを「経験値の家」と呼んでいます。

この物件を自宅近くに購入したことで、自分でやるかプロに頼むかの判断も含めて、短期間でリフォームのノウハウを身につけることができました。最初から人任せでは、原価も工法もわからず、どうしてもコスト管理等が緩くなります。この家は、本気で大家業を成功させるための最初に挑戦すべき「クエスト物件」と捉えています。

――不動産投資を始めた頃は戸建てばかり買っていたのに、途中からアパートへと方針を変えた理由はなんでしょう?

上総百万石さん 
自分たちの中でリフォームから客付けまでの成功パターンが体系化でき、チーム作りも完了したので、融資を使って規模を拡大しようと決めたんです。とはいえ最初の1年で4,000万円も融資を受けるとは思いませんでしたが・・・。

一番最近買ったアパートは、市街地の中心部にあるのに売却の際に土地値で売りに出されていました。売主さんは地域事情のわからない遠方の方で、銀行と不動産業者にうまくはめられた被害者だと感じましたね。

私たちはおかげで安く買えたわけですが、このような経験をすると、不動産会社のいうことを鵜呑みにするのは非常に危険だと感じます。自分で知識を身につけて、物件の本来の価値が計算出来るようにならないと、大家は銀行や業者の養分にされてしまいます。

■ 日本政策金融公庫でフルローンを受ける「上総式低金利法」

――アパートの融資付けについて教えてください。

上総百万石さん 
日本政策金融公庫から、1%台の金利で物件価格の100%を借りています。公庫は、借りたい金額と同じ現金を貯金で作ってから融資を申し込むと、圧倒的に審査で有利に働きます。「お金があるのに、なぜ借りるのか?」と訊かれたときは、「リフォームと運用資金用に持っていたい」と事業計画書に沿った合理的な説明が大切です。

あとは、認定経営革新等支援機関の認定を受けた税理士事務所を通すと金利がダウンすると融資担当者に提案され、実行しています。公庫は物件の所有権を移転してからでないと融資を一部しか受けられず、現金か与信が別途必要になるケースが多い。でも、僕らは抵当物件のみで先に全額を借りられたものもあります。自分たちでは「上総式低金利法」と名付けています(笑)。

――上総さんは、行動が非常に合理的ですね。他に何か、工夫していることはありますか?

上総百万石さん 
税制については徹底的に研究しました。売上を上げるのは規模ごとにそれなりの難易度ですが、お金を残すには知識と実践経験が必要です。20歳の時税理士さんに弟子入りして自分も勉強しました。今では会社の日常経理は全部自分でやっています。

それと、保険は徹底的にかける主義で、全部合わせると年に100万円以上支払っています。先日も台風で基礎コンクリートが割れたのですが、24万円が保険でおりました。

■ 意外と難しい業者さんの見つけ方とソウルブラザーのSRI君

――奥様は、どんなことに気を付けていますか?

ネコミミさん 
他人がやらないこと、できないことを実行し、「投資家自身の利回り」を上げることが成功のために重要と考えています。例えば、今年の6月に購入した近所の戸建ては、全体のリフォームが必要だったので、タウンページを見ながら各ジャンルごとに3~10人の職人さんに見積もりをとるところから始めました。

このときわかったのは、業者さん探しは意外と大変ということです。単価の安い個人の職人さんは、電話に出なかったり、約束を守れなかったりすることがよくあります。かといって、エンド向きの業者さんだと予算が合いません。最終的に、塗装業者以外は大手の不動産会社さんの紹介で知り合った方や、小さな仕事を任せて良かった人にお願いしました。

ちなみに、この家は近所に学校があり、3LDKと広かったので、ファミリーを意識した外壁塗装のイメージ図を作り、塗装業者さんに渡して施工してもらいました。室内の壁もアクセントクロスを使い、かわいらしい感じにしています。

――リフォームはもともと得意だったのですか?

ネコミミさん 
はじめてです!でも、不動産は工夫したことがお金にすぐ反映されるので面白いです。それと我が家のリフォームチームには、セルフリフォーマーのSRI君という仲間がいて、大きな戦力になってくれています。もともと、自動車メーカーの最初の型を作る専門家だったのですが、ミリ単位よりセンチ単位の住宅の方が簡単だろうと、友人であった主人に現場に投げ込まれてしまった結果・・・凄い性能を発揮しています(笑)。

SRI君は大工さんの仕事を1日見れば、次の日に完ぺきに再現できるという特殊能力の持ち主。腕はプロなのに、3分の1のコストでどんどん進めてくれるので非常にありがたいです。彼も大家業に興味があるそうなので、先日、実験用の安い戸建てを一棟譲りました。

■ メンターは実際に賃貸業で資産を増やしている人を選ぶ

――戸建てを譲ったとサラッと話すところがすごいですね。不動産投資を始める人たちにアドバイスをお願いします。

上総百万石さん 
まず、自分で全部経験して、本当に不動産をやりたいのかを見極めることが大切。面倒くさくても「面白い」と思えないと、不動産が大好きな人が敵になったときに、負けてしまうからです。興味が持てないなら、早めに撤退することも必要だと思います。

そして、やると決めたら、成功している人の話を聞いて実践するのが一番! 本や商材だけではなく、実際に会ってリアルメンターになってもらうことです。不動産業者はダメ。実際に賃貸業でお金を産んで資産を増やしている人を選ぶことが大事だと思います。

ちなみに僕らは「キャッシュマシーン(仮名)」という個性者揃いの大家の会を主催しています。この会には、私たちよりずっと規模の大きな変態レベルの大家さんが多く、いつも勉強させてもらっています(笑)。

――目標を教えてください。

ネコミミさん 
私は本業の収入(3,500万円位)と同じレベルの家賃収入を築くのが目標です。30才になる前に3,000万円は達成したいですね。

上総百万石さん 
本業の勢いはいつまで続くかわからないので、不動産だけでお金を回転させて資産を増やす仕組みを拡大したいです。そして、数年後には高校生くらいの若い人たちに、会社に頼らない生き方を教えるような教育事業をやってみたい!日本のツマラナイ教育機関から未来の仲間を開放して、日本中に自営業者の仲間を増やして、一緒に遊べたら最高ですね☆

前編:第15回 千葉の高利回り物件で家賃年収1,400万円の「アキバ系夫妻」


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