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第5回 土地所有者を狙う「うますぎる話」にご用心!サブリース会社の「からくり」と、利用時の注意点

サブリースとは、賃貸住宅での空室リスクを回避するために、不動産会社等がオーナーから部屋を一括で借り上げ、転貸して運営する経営形態のことを指します。

オーナーからすると、空室リスクの回避や、管理の手間がかからない等のメリットがあるものの、近年は「約束した賃料で借り上げてもらえない」「借り上げ賃料の減額を断ったら、サブリースを打ち切られた」などのトラブルが相次ぎ、問題となっていました。

その背景には、土地を所有する地主などに対して、「相続税対策になる」「家賃30年保証だから安心」とリスクのないアパート経営をうたい、数千万円以上のアパートの建築を促すアパート会社の強引な営業手法があります。

不動産コンサルタントの長嶋修氏は、このサブリース問題について、以下のように述べています。

「実際には新築時と同じ条件で家賃が30年もの長きにわたって保証されるはずもなく、2年毎の更新時には保障家賃の見直しが入るのは必至です。
何千万円、何億円という多額の費用がかかるアパート建築ですから、失敗すれば、大きなダメージを受けることになります。それにもかかわらず、「サブリースのからくり」を知らず、セールストークを信じてしまう人たちが多く存在することを示しています。

よく精査することもなく契約をしてしまう人が後を絶たないという実情に、残念な気持ちになります」

(参照: アパート建築が止まらない~クローズアップ現代出演後記~

長嶋さんの言葉にもあるように、問題は「よく精査することもなく契約をしてしまう」というオーナー側の不勉強にもあるといえます。一方で、投資家の中には、サブリースの仕組みを理解し、リスクもわかった上で、サブリースをうまく活用している例も見られます。

例えば、都内の区分所有マンションでサブリースを利用しているサラリーマン大家の加藤隆さんは、「私のようなサラリーマン大家にとっては、手間がかからないという点ではメリットがあるのも事実」といいます。

ただし、加藤さんは、サブリース会社から一方的な借り上げ家賃の低額を告げられた時、「交渉をしてお互いに納得のいく落としどころを決める」ようにしており、黙って相手の要求を受け入れることはないそう。それができるのも、不動産投資の知識があるからです。以下は加藤さんの言葉です。

「私は、『いざとなれば懇意にしている仲介業者に客付けを頼もう』『別の家賃保証会社に頼めばいい』といった気持ちがあったため、強気で交渉できました。しかし、自分に不動産投資のノウハウがないと、相手の言い分を飲み込むしかなくなります。

そうなると、物件購入時のシミュレーションなど何の意味もなく、あとはもうなし崩し的に、家賃が下がっていくだけです。相手と対等に話ができ、家賃保証がなくなっても賃貸経営を続けているノウハウを持っておかないと危険ということです。」

(参照: 家賃保証制度を利用して感じた正直な気持ち

このように、サブリースとは、その仕組みを理解して、自分の賃貸経営にうまく活用するという意識で取り組めばメリットを享受できる一方で、みずから情報を集めることを怠り、「経営を人任せ」にするオーナーにとっては大きなリスクとなる諸刃の剣ともいえるのです。

賃貸経営もビジネスのひとつ。「ノーリスクのビジネスなど存在しない」という当たり前のことを意識することで、「うますぎる話」の先にあるトラブルを防止できるでしょう。


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