米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは11月24日、新型コロナウイルスによる債務者間の影響に伴い信用力の二極化が進むとレポートした。政府は収入減世帯を対象に累計1.28兆円の生活福祉資金の特例貸付(無利息)を実施したが、その返済が2023年1月、もしくは借り入れから1年後のどちらか遅い方から開始する予定だ。
足元は雇用環境に不透明感が漂う。雇用値要請助成金の特例措置も22年3月まで延長されるが、支援内容がさらに縮小される。その後、終了となれば、非正規雇用の多い企業を中心に解雇に踏み切る企業が出てくる可能が高まる。
一方で、コロナ禍で貯蓄が増えて返済能力が強固となった債務者も存在する。年間収入が上位20%の世帯の平均貯蓄額は20年第1四半期の2167万円から21年第2四半期には2863万円に増えて下位20%の世帯は平均貯蓄額が806万円から716万円に減少した。住宅ローン担保証券(RMBS)やオートローンABS(資産担保証券)の裏付け債権の多くが安定的な雇用と収入がある債務者に対するローンだとしている。