格付け大手のムーディーズ・ジャパンは12月20日、ジャパンエクセレント投資法人(JEI)と日本都市ファンド投資法人(JMF)の格付けを発表した。JEIの格付けは「引き続き安定的」とし、JMFは「引き続きネガティブ」とした。いずれも格付けは「A3」とする。
オフィスビル特化のJEIは、ポートフォリオの質的改善により向こう12~18カ月に空室率上昇といった東京のオフィス賃貸市場の市況低迷が緩和されるとのムーディーズの味方を反映した。日鉄興和不動産やみずほ銀行などのスポンサーとの強固な関係を通じた事業基盤や不動産の流動性なども考慮した。JEIの純有利子負債/EBITDA倍率は8倍台前半から中盤で推移するとした。今年6月末までの1年間は7.8倍だった。
一方、複合型のJMFは、同社が運用する商業施設が高い稼働率を維持してコロナ禍の難しい事業環境に対処してきたことと、主力スポンサーの三菱商事との強固な協働体制や潤沢な流動性を考慮したが、ネガティブな格付け見通しは高い財務レバレッジを反映した。
JMFの足元のレバレッジは、従来実績の9倍台の純有利子負債/EBITDA倍率よりも高く、同水準の格付けである総合型リートと比べても高い水準とした。今年8月末までの12カ月間の倍率は10.2倍と推定。向こう12~18カ月での格上げの可能性は低い。ただ、パンデミックによる影響が和らぎ稼働率や賃料水準の向上でレバレッジが低下すると格付け見通しを「安定的」に戻す可能性があるとした。