長谷工コーポレーションは8月22日、既存の石積擁壁の石材を再利用・組み直し、新たな重力式石積擁壁として復元する新工法(中村石材工業と共同特許出願済)を開発したと発表した。同工法の採用により、復元した石積擁壁の安全性向上と周辺の景観保全の両立が可能となる。都市計画法の技術基準に準拠した擁壁としての許可取得は国内で初めて。
グループの長谷工不動産と東京建物が鹿児島市内で販売予定の新築分譲マンション「ブランシエラ南洲門前通り」(総戸数159戸)に採用。同物件は2027年1月に竣工する予定。
同マンションは、鹿児島市内でも古くからの伝統ある街並みが残る「上町エリア」に位置する。周辺エリアは鹿児島市が景観条例に基づき石垣を保全してきた。物件施工に当たっては、景観保全の観点から当初は既存の石積擁壁(1個200キロ×1600 個)を残置させる計画を進めていたが、既存の石積擁壁が都市計画法上の安全性基準を満たしていないことから同工法を開発したうえで鹿児島市から承認を得たことで計画進行となったという。
重力式石積擁壁の新工法の施工手順としては、①既存の石積擁壁の石材1600個の一つずつに番号を付与し、記録画像を作成し現状を把握。②既存の石積擁壁を解体。③従前の石材を再度組み直すことで新たな重力式石積擁壁として完全復元。