政策

大言小語 災害を知らせる地名

 先日、広島に行った。広島駅に着く前にふと窓の外を見ると、目当てのマツダスタジアムが見えてきた。そこに向かって広島ファンの赤い行列が続いている。ものすごいパワーを感じると共に、「カープ女子」に代表される、広島人気を再認識させられた。

 ▼赤い球場にはいくつもの募金箱があった。8月20日未明に広島を襲った土砂災害被害のものだ。10日たった時点で死者72人、行方不明2人。大災害である。寝ていて、避難どころか気づく間もなかった人もいたという。

 ▼森林のすそ野に広がった新興住宅地。危険はここだけではない。首都圏でも、横浜や横須賀など人気エリアに同様の危険は存在する。真砂土というもろい地盤も被害の一因だが、固い地盤の住居も被害にあっている。考えられない量の雨が次から次へと降る、「バックビルディング現象」も原因だ。ゲリラ豪雨や藤田スケール(竜巻の強度の等級)など異常気象に関し、聞いたこともなかった用語が飛び交う世界は、明らかにおかしい。

 ▼被害にあった広島市安佐南区八木は、昔「蛇落悪谷」などと呼ばれていたという。先人が危険を後世に伝えるために残した地名を、耳障りのいい言葉に変えるのは新興住宅地にありがちなことだ。警戒区域の指定問題など本末転倒にならないよう、今一度、災害から身を守ることを真剣に考えたい。