幸福論的「住宅論」 記事一覧
幸福論的「住宅論」
〝ハード〟である住宅を、幸福という目に見えない〝ソフト〟の問題として論じてみたい。なぜなら日本は、住宅を面積や耐震性、最新設備など物理的側面から見ることが多い。にもかかわらず、住宅を購入する根源的動機については「家族が幸福になるため」と臆することなく語る。ハードをハードとして評価することが、どうして幸福という目に見えない微妙なソフトを手に入れることにつながるのか。その〝落差〟を埋めないかぎり、日本人は決して幸福にはなれないと思うからである。
-
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 79/100 「住宅」か「住まい」か 人と社会をつなぐその器
人は「住まい」を通して社会とつながっている。住宅着工、住宅建設という言葉があるように「住宅」は主にハードを意味する言葉である。モノである住宅がなんのためにあるかといえば、人の暮らしに潤いと張りを与え(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 78/100 電動キックボードの可能性 人と人をつなぐインフラに
電動キックボードの日本での本格的実用化に向け東奔西走するLuup(ループ)の岡井大輝社長(5面記事参照)が、最初に立ち上げた事業は「介護士版Uber」だった。 不足する介護士問題を解決するため、数時間だけ働きた(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇29 単身世帯増加という異常 日本人は帰属意識に何を求めるか
本紙5面で1月15日号から3回に渡り、住生活コンサルタントの大久保恭子氏に「ひとり暮らしを創造する」というテーマで連載をしてもらった。 日本は今、高齢者に限らず単身世帯が増えている。30年にはおよそ男性の(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 77/100 改正意匠法の波紋 住まいが変われば社会が変わる
特許庁の改正意匠法が4月1日施行される(5面記事参照)。不動産としての建築物の外観や内装デザインを知的財産権として保護するのが目的。これが今後住宅・不動産業界に大変革をもたらすのか否か、業界の関心も徐々(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 75/100 賃貸業界が考えるべきこと 高齢者を拒否しないために
若い人たちの持ち家志向が意外に根強いのは高齢になればなるほど賃貸住宅に入居しづらくなるという予感を早くも肌で感じ取っているからではないか。「一生賃貸だと老後が不安」と回答する気持ちの中には、年金暮ら(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 76/100 高齢者の居場所は 〝老い〟の意味を考えれば自明
家主が高齢者(特にひとり暮らし)の入居を敬遠する最大の理由は〝孤独死〟である。ほかにも、うつ病や認知症などによる引きこもり、それに伴う家賃滞納、ゴミ屋敷化などのリスクがある。 孤独死の場合、発見が遅(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 74/100 〝未来は、ここ。〟 異端と孤立は紙一重
BESSのブランドでログハウスやそれふうの「自然派個性住宅」を自宅として展開するアールシーコアは、住宅業界では異端といわれる道を歩んでいる。もちろん、その道を意識して選んでいるわけではなく、創業の理念で(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 73/100 住まいが幸福に占める割合 「敷居をまたげば七人の敵」
家は居城 住まいが幸福に占める割合はどれぐらいだろうか。幸福とは何か、の議論が必要だが、「自分らしく主体的に生きること」が幸福だとすれば、住まいはまさにそのための居城のようなものである。 人間が自分(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 72/100 不動産業「令和の時代」(下) 社会を変えるのは人々の意識
「楽しみ方改革」 暮らしの3大改革の3つ目は「人生の楽しみ方改革」である。孔子曰く「之を知る者はこれを好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」。 つまり、何かを楽しむことは人生最高の教養とい(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 71/100 不動産業「令和の時代」(中) 働き方改革が人生を変える
郊外は都心に比べればなんといっても地価が安く、自然も残っているから、子育てを抱えた共働き世帯に向いている。つまり、子育てをしながら夫婦で働かなければならないという時代のニーズが、働き方改革によって住(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 70/100 不動産業「令和の時代」(上) 歩調そろえる3大改革
江戸時代の人間が現代社会を想像することができないように、人間は100年も200年も先のことは夢にすら見ることができない。しかし、5年ぐらい先がどうなっているかを想像することは楽しい作業となる。そこで、住宅を(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 69/100 会社の行動原理 社会問題解決の一助となる
会社は何のためにあるのか。普通は、利益を得るためにあると考えられている。利益を十分に得ることができたら、その一部を社会に還元する。それが一般的な会社の理想である。しかし、それだと、利益が確保しづらく(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 68/100 マンション市場の「責務」 困難でも「管理」を売り物に
会社はヒトではないが法人という人格を与えられている。だから、福島第一原子力発電所の事故について当時の経営陣の責任を問う裁判が行われたが、結果は「無罪」だった。しかし、東京電力という会社(法人)に危機(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 67/100 すべての人の幸福を考える 「公益」不動産業
「会社は誰のものか」という議論がある。株式会社の始まりといわれるオランダ東インド会社や、イギリス東インド会社にしても、当時は大航海による貿易に出資して一儲けしようという株主のための器だったに違いない(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 66/100 覚悟する〝老年期〟 まだ誰も知らない領域を生きる
「人生は死ぬまでのヒマつぶし」という投げ遣り的な言葉がある。生まれてしまった以上、自分で命を絶つのは難しいから、生きるしかないという意味だろうか。 それはさておき、人生は究極の目標を設定して生きる(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 65/100 戸惑う〝老年期〟 心は変えず形を変える
安倍首相は内政の最重要課題は急速に進む少子高齢化問題だと指摘する。少子高齢化問題には様々な側面があるが、「長くなった老後をどう生きるか」という問題はかなり深刻である。「人生50年」といわれていた時代に(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 64/100 単身社会の背景 日本人の仕事観に異変
それにしても、「夫婦+子」世帯(全世帯の24%)よりも、単身世帯(34%)のほうが多くなったということは、どういうことだろうか。結婚して家庭を持ち、子供を産み育てることが人間の幸せという伝統的価値観が崩壊し始(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 63/100 社会資産となる道 ハードで捉える愚かしさ
経済が低成長時代を迎え、不動産市場がストック活用時代に入ると、住宅を個人の資産としてだけでなく社会資産として捉えようという動きが顕著になった。しかし、そこは少し無理があるのではないか。なぜなら、住宅(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 62/100 「大衆」から「個」の時代へ 難題は社会性との融合
形にこだわるのは、中味がないからだという。手厳しいが、「もともと人は空疎なもの。だから、形から入るしかない」という擁護論もある。住まいの「n+LDK」という形は、実は利用する側が欲したわけではなく戦後、(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 61/100 欧米と日本の違い 暮らしぶりを見せるか隠すか
ライフルホームズ総研は今年3月、日本とデンマークの「住生活比較調査」をまとめた。デンマークの首都、コペンハーゲンで「あなたにとって家とは何ですか」と聞くと、「自分を取り戻す場所」「友達や仲間を招いて(続く)