幸福論的「住宅論」 記事一覧
幸福論的「住宅論」
〝ハード〟である住宅を、幸福という目に見えない〝ソフト〟の問題として論じてみたい。なぜなら日本は、住宅を面積や耐震性、最新設備など物理的側面から見ることが多い。にもかかわらず、住宅を購入する根源的動機については「家族が幸福になるため」と臆することなく語る。ハードをハードとして評価することが、どうして幸福という目に見えない微妙なソフトを手に入れることにつながるのか。その〝落差〟を埋めないかぎり、日本人は決して幸福にはなれないと思うからである。
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幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 60/100 首都圏の高齢化率が35%になるとき 見直し迫られる国土政策
首都圏(1都3県)では、2040年に3人に1人が高齢者(65歳以上)になる見込みだ。これまで、全国から若い働き手を吸収し、日本の経済成長をけん引してきた首都圏もいずれ衰退の時期を迎える。具体的には首都圏の人口は40(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 59/100 複合開発の〝妙〟 親子が近居、住み替えも
これからの住宅はどうあるべきか――。その一つの答えがここにある。長谷工グループが開発した「ブランシェラコート王子」(東京都北区王子5丁目)がそれである。 介護付き有料老人ホームと賃貸マンションを一体(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 58/100 住まいは時代の鏡 日本人の心をどう映すか
「住まいは人なり」と吉田兼好は言ったが(『徒然草』第十段)、すべての住まいがそこに住む人の人柄を偲ばせると言ったわけではない。「住んでいる人の人柄がなんとなく伝わってきたり、住んでいる人にいかにも似つ(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 57/100 日本人独特の感性は 安定した時代でこそ輝く
日本の長い歴史の中で人口がほぼ横ばいという時代があった。江戸時代後半がそうである。8代将軍吉宗が実施した享保の改革(1716~1745年)から幕末にかけては約3100万~3300万人の間で安定していた。 当時の日本を(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 56/100 静かなる〝有事〟 人口減少を止める術はあるか
止まらない人口減少は〝静かなる有事〟といわれる。前回(8月6.13日号)、日本社会は人口減少が止まらなければ将来、高齢化率と単身世帯率は共に約4割という末期的状況が半永久的に続くと述べたが今のところ、少子化(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 55/100 住まいが変わればーー 社会を変えることができる
住宅のあり方を変えれば社会を変えることができる。そうした前提に立って、これからの議論を進めたい。なにしろ、住宅は国民生活の基盤なのだから……。 ◇ ◇ まず、住宅業界はこれまでハードの議論(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 54/100 絆を確認「家族信託」 日本の家族に〝新しい風〟
相続コンサルティングを手掛ける不動産業者や税理士などの専門家が増えている。その中で、家族信託がにわかに注目を集め始めた。その理由は、自宅などの不動産を信託財産にすると、受託者が得る形式的所有権(名義)(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 53/100 〝限界〟に挑む処方箋 まとうべきは悠久という時間
何のための住宅論か――ささやかな思考も行き詰まりかけたなら一つの仮説を立ててみることだ。既に結論を得てしまっているのではないかと。 ただ、それがあまりにシンプルで陳腐でさえあることから、それを結論と(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 52/100 忘れられがちな機能 「生活美」を演出
絶対的な神(主)をもたない日本人にとっては〝家制度〟が家族を束ねる力、家族の絆、一人の人間の最終的な心の拠りどころとなっていた。その、ある意味強力だった日本人としての心の箍(たが)が、戦後の家督制度廃止(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 51/100 生きづらさの克服 都市化が進めば少子化も
現在の高齢化率は約27%だが国立社会保障・人口問題研究所の推測によれば25年には30%に達し、その後も上昇を続け40年には36%、60年には40%に達する見込みだ。65歳以上の高齢者人口自体は40年頃に約3867万人でピーク(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 50/100 高齢者は孤独なのか 自殺による〝孤独死〟の7割は40代以下
住宅論に〝人間観〟は欠かせない。人間観の基底をなすのは〝人間にとって死とは何か〟だ。最近気になっている表現がある。高齢者が自宅などで誰にも看取られずに亡くなると、なぜ〝孤独死〟と言われるのだろうか。(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇49 生きがいとは 役割をもち、日々を楽しむ
老後にあり アクティブシニアがリタイア後の人生を楽しむための〝住まい〟とはどんなものだろうか。資金に余裕がある富裕層ならばいかようにもプランを立てることができるから議論する意味はあまりない。ここでは(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇48 新・家族主義 (下) 〝共同作業〟への郷愁に賭ける
戦後の家督制度廃止で、日本では「家族」の意味が大きく変わった。父親(戸主)を筆頭にした縦の関係から、家族内の個人はすべて平等で自由つまり横の関係になった。基本的人権の台頭である。 消えゆく〝先祖〟 そ(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇47 新・家族主義 (上) 核家族という不毛の連鎖
混沌の記憶 日本で住宅論が重きを成し得ないのは、日本人が家族という社会の最小単位の重要性を認識していないことに起因する。社会は最小単位(家族)から最大単位(国家)へと上がっていくにつれ、そこでの人間関係(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇46 幸せの正体 人としてあることへの感傷
この世の中に大きな幸福というものはない。なぜなら、幸福は量的なものではないから。お金をたくさん持っているとか大きな事業に成功したとかそういう類のものではない。したがって小さな幸福というものもないが、(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇45 認知症予防で政府が数値目標 〝孤独〟という貧困
政府は5月16日、70代に占める認知症の人の割合を25年までに6%減らすという数値目標を公表した。厚労省推計では、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)となる25年には認知症患者が約700万人に達する。これは65歳以上の高(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇44 なぜ「幸福論」か 日本を元気にするサプリ
マスコミがよく使う「今は百年に一度の変革期」などという言葉がもはや死語になりつつある。というのも、これからは〝今〟に限らず、常に百年に一度の変革期が続いていくような気がするからだ。人間がコンピュータ(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇43 なぜ住宅論が必要か 「住む楽しさ」を知る
普通の人は住宅論には余り関心がない。それは衣食住という言葉があるように、住宅もこの豊かな消費社会にあっては当たり前に存在するからだろう。その証拠に住宅購入にも消費税が課されている。 しかし、同じ生活(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇42 仕事と住まいの関係 子供が親の働く姿を見ない弊害
「働き方改革」が話題となっている。残業時間の制限、有給休暇の義務化、同一労働同一賃金の原則など様々な論議があるが、「なんのために働くのか」という視点が欠け落ちていないか。言うまでもなく、仕事と幸福と(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇41 住宅論的幸福論 自立する旅に出た西行
幸福は自らの力で創り出すもので、人から与えられたり人に与えたりするものではない。余談だが、結婚式で新郎が「○○さんを必ず幸福にしてみせます」と言ったとしたら、それは間違いである。新婦も幸福にしてもらえ(続く)