幸福論的「住宅論」 記事一覧
幸福論的「住宅論」
〝ハード〟である住宅を、幸福という目に見えない〝ソフト〟の問題として論じてみたい。なぜなら日本は、住宅を面積や耐震性、最新設備など物理的側面から見ることが多い。にもかかわらず、住宅を購入する根源的動機については「家族が幸福になるため」と臆することなく語る。ハードをハードとして評価することが、どうして幸福という目に見えない微妙なソフトを手に入れることにつながるのか。その〝落差〟を埋めないかぎり、日本人は決して幸福にはなれないと思うからである。
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幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇20 シェアハウスが新たなインフラに 一人の自由よりも少し気を遣う不自由が魅力
住宅とは何か、不動産業とは何かを考えれば考えるほど、空しさが体の脇をすり抜けてゆく。日本という国の行く末が鮮明化していないことがその理由と思われる。国のかたちが定まらないのに(例えば労働人口不足に対(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇19 人が主役の不動産業 捨てがたい「食卓を囲む幸せ」
これからの不動産業は〝人〟が主役になっていくという確かな予感がある。なぜなら、今更だが、不動産は所有から利用へという潮流が本格化していく。 所有価値にはその資産性など客観性があるが、利用価値は個(続く) -
幸福論的 『住宅論』 住宅評論家 本多 信博 ◇18 改正民法施行まで1年半弱 本格的〝契約社会〟は日本になじむか
改正民法の施行(20年4月1日)まで1年半を切った。その特徴を簡潔にいえば、「契約趣旨」と「契約文言」の重視である。例えば、契約違反(債務不履行)について従来は、「責めに帰すべき事由(の有無)」が問題となって(続く) -
居酒屋の詩 (25) 会長は 哀しからずや 今日の空明日の空にも 染まず微酔う
かつて住宅新報社で総務局長を務めた人がいた。退職後は郷里の山梨(笛吹市)に帰り、今はぶどうの栽培に精を出している。 毎年秋になると巨峰、マスカットベリーなど数種類の甘いぶどうを届けてくれる。その甲州の(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇17 戸建てシェアハウスへの郷愁 渇いた単身社会に潤いを
「一つ屋根の下で暮らす」という、どこか温もりのある言葉はもはや死語となってしまったのだろうか。昔は親も兄弟(姉妹)もそれぞれ家の中での役割があった。兄弟同士ケンカもしたが、協力し合うことのほうが多かっ(続く) -
幸福論的「住宅論」◇16 住宅評論家本多信博 一代限りか、代々住み継ぐか 国家の体をなす住まい
空き家のまま放置されている個人住宅(13年で約318万戸)はこれからも増加し続けるとの見方が極めて有力だ。では、いつになったら減少に転じるのか。 日本ではこれから100年以上にもわたって人口減少が続くと見(続く) -
幸福論的「住宅論」◇15 秋田県方式の成功が意味するもの 〝親の知らない海〟を渡る子供たち
学力全国1位 毎年小・中学校で実施されている国語と算数(数学)の全国学力テストで、秋田県の小学校は07年度の同テスト開始以来10年連続全国1位である。中学校も毎年トップクラスの成績だ。その要因の一つに、学(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇14 「幸せ」と「健康」を司る住まい 失ってみて分かる大切なもの
失ってみてはじめてその大切さが分かるものの代表は〝健康〟だが、実は〝幸せ〟もその一つだ。幸せは案外身近に潜んでいるもので、普段は気付きにくい。身の回りの些細なこと、日常の何気ない暮らしに繊細な意識を(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇13 何のために家を持つのか 不可能になったハードでの差別化
人間はなぜ、夜見る夢を即座に夢だと見破れないのだろうか。現実世界とは光も色彩も立体感もまったく違うのに……。それは、夜見る夢が意識の底の底、奥深い潜在意識による映像だからこそ、表層意識で(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇12 定借でイノベーション 四半世紀を経た今こそ好機
「人口減少下ではすべての需要が縮小する。住宅は間もなく世帯数も減少し始めるから縮小せざるを得ない。だから海外進出だ」――こうした見方は本当に正しいのだろうか? 人口減少下でも伸びている商品や市場は数多(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇11 変質する社会的役割 〝悠久〟の味わいが心を癒やす
精神的支柱になる 90年代初頭のバブル崩壊までは、多くの父親(サラリーマン)にとって家はただ寝に帰るだけの場所であった。しかし、これからは地域の人たち、友人や職場の同僚などを招いて交流を図るなど、様々(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇10 子供にとって〝家〟とは 祖父母がいなければ不幸
住宅はこれまで、「内需の柱」と言われてきた。しかし、これからは「国づくりの柱」とならなければならない。 日本の高度成長時代は都市にあっては人口過密、地方にあっては公害病などの問題を引き起こしたが(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇9 「若者論」を踏まえれば 家は、大人の感傷を癒やす場所
今の若者に「自分を幸福だと思うか」とたずねると、「そう思う」という回答が約8割を占めるという。私も明海大学不動産学部で講義をしていたとき、「今の社会に閉塞感を感じますか」と聞いたことがあるが、約7割の(続く) -
幸福論的「住宅論」 住宅評論家本多信博 ◇8 住宅を介して考えれば 普遍的テーマが身近に
幸福について考えることは、人間について考えることである。住宅について考えることも、人間について考えることにほかならない。 人間についての深い洞察を欠いた住宅論ほど陳腐なものはないだろう。だから、(続く) -
幸福論的「住宅論」◇7 宅建士の責務とは 「女性塾」で清水千弘教授が講演
日本大学教授で不動産業に造詣が深い清水千弘氏は、最近の講演でこう語る。 「ひとは幸せになるために一世一代の住宅を購入するのだから、仲介会社の営業社員は自分が扱う商品が顧客を真に幸せにしているかと(続く) -
幸福論的「住宅論」◇6 〝幸せ〟を研究すれば 「心と住まいとの関係」にたどり着く
民間企業では初 〝幸せ〟を研究する積水ハウスの「住生活研究所」(河崎由美子所長)が8月1日、発足した。同社の総合住宅研究所(拠点=大阪、京都)内に設立されたが、民間企業が〝幸せ〟の専門研究機関を設けるの(続く) -
幸福論的「住宅論」◇4 住文化は復活するか 衣・食よりベーシックだが
日本の居住形態が大きく変わったのは〝戦後〟である。戦後といえば、政治体制(国家観)をはじめ、家族や個人に関する思想、道徳観、生きる上での諸々の価値観などが様変わりした。 だからこそ、生活様式の基本であ(続く) -
幸福論的「住宅論」◇4 乏しい住宅論の陰に希薄な人間関係 「住宅教育」の重要性
人はどのような住まいを得ると幸福を感じるのだろうか。アメリカの心理学者アブラハム・マズロー(1908~1970年)は、「人間の欲求(幸福感)」を5段階に分け、最高ランクに置いたのが「自己実現欲求」である。 (続く) -
幸福論的「住宅論」◇3 資産価値を維持するには 「買主も将来は売主」という発想
オークションではないが、その住宅に最も高い価値を見いだした人が、最も高い価格で買っていく――そんな社会をつくることはできないものだろうか。問題はそうした買い手をどうやって見つけ出すかということである。(続く) -
幸福論的「住宅論」◇2 まだ見ぬ〝心躍る人生〟 リバースM、高齢者のライフスタイル変革
住宅金融支援機構の「住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン」(商品名は『リ・バース60』)が注目され始めた。 取扱金融機関が貸し出すリバースモーゲージ型ローンに同支援機構が保険を付与するため(続く)