住友林業は日建設計と、木質梁とRC床版を組み合わせた合成梁構法を共同開発した。木とコンクリートの圧縮強度が近い特性を生かし、両者を強固に接合することでロングスパンを実現する。梁の高さを抑えられるため、建物の階数増加にもつながり、オフィスや学校、病院などの中大規模木造建築の普及を促進する。
中大規模建築を木造化する場合、木材を床に用いると、振動が伝わりやすく居住性に影響が出る一方、強度を担保するためには木材の断面を大きくする必要があるため、空間を圧迫するといった課題があった。
これらの課題を解決するため、両社は16年にプロジェクトチームを立ち上げ、実験・検証を実施した結果、木質梁そのものにのこぎり状の凹凸をつけ、RC床版とつなげる「のこぎり型接合」によって、鉄骨造りやコンクリートスクラブによる床と比べても遜色のない揺れにくい床を実現。梁の長さは従来の床の倍に当たる約12メートルのロングスパンや、大きな床面積の中大規模にも対応可能となった。また、非合成梁の場合の梁の高さが120センチ程度であるのに対し、90センチ程度と約4分の3にできることから、高層化の際には階高を抑えて階数を増やす増床にもつながるとともに、耐火被覆面積の削減や建物全体の高さも抑制できることから、建築全体の高さの抑制となり、建築費を削減できる。集成材やLVLなどが使用でき、木材の樹種の成約も少なく汎用性が高く、非住宅の中大規模木造建築の促進に寄与する。
構造性能調査を取得しており、床工法との組み合わせ自由度が高く在来型の枠構法にも活用でき、デッキプレートなどの型枠にも対応するほか、耐火構造の木質梁にも適用できる。同社が公表している、創業350周年を迎える2041年に向け、高さ350メートルの木造高層ビルの建設する研究技術開発構想「W350計画」への活用も可能だ。両社は同構法の普及を進めることで、50年の温室効果ガス実質ゼロの目標達成への寄与を目指す考えだ。