総合人材サービスのパーソルプロセス&テクノロジー(東京都江東区)は、同社が2022年12月に発表した「DX・デジタル人材育成トレンド調査2022年」などを基にして、セミナー「2023年のデジタル人材育成どうする? 有識者がトレンドを語る」を開催し、企業での取り組みの秘訣などを解説した。
講師で、同社ワークスイッチ事業部デジタル開発部部長の成瀬岳人氏は、同調査から見えてきた企業の課題について、「DX推進の取り組みが進展する中で、経営層や管理層は、社員が自律的に考えられ、実践を通して推進ができる『デジタル変革人材』の育成を考えていかねばならない。現状を見ると、知識の吸収などのインプットが過多になりがちな状況が見られる。重要な観点は、業務や組織上の課題点を洗い出し、業務プロセスの変革や業務の改善、データの利活用などの目的を定めること。更には、どのようなレベルの、例えば、DX推進リーダーやデータサイエンティスト、プロダクトマネージャーなど、育成したい対象の人材像を想定することが大切になる」と解説した。
また、AI(人工知能)を利活用したサービスを開発するエクサウィザーズ(東京都港区)DX人材育成プロダクト部部長の木村直樹氏は、DX人材育成のポイントについて、「DXに向けた取り組みには段階がある。社内の業務が楽になるように社内の視点から従来業務をIT化するデジタイゼーション、顧客の利便性も視野に入れるデジタライゼーションと続き、その上で、データとデジタル技術を用いてビジネスプロセスや組織、企業の文化・風土などについて従来の常識や慣行を変革していくDXにつながっていく。これらをふまえ、現状を可視化して、自社がどの段階のデジタル人材を育成するのかを明確にして人材育成計画を策定する。一般的には、計画の策定や研修で終わりがちだが、より重要なことは少しでも実践することにある。DXは実践してこそ身につくもの。今後の人材育成は、福利厚生ではなく、明確にROI(投資利益率)を意識すること」と説明した。
続くパネルディスカッションで両氏は、「デジタル変革人材の姿に対してそれぞれバラバラになりやすく、時間軸での進ちょくが不明確に陥りやすいために、具体的な姿や時期などゴールを示す。DXは新しいことに踏み出すだめ、批判されやすく、仲間をつくれるバイタリティーのある人を中心に楽しく推進することも大切な視点となる。最も重要なことは、自社にとってのDXとは何なのかを定義して言語化し、小さな一歩でも実践を重ねること。不足分を学びながら推進していく姿勢が必要となる」と解説。また、その際に有用なサポートサービスとして、関心の喚起から課題の設定、実践までをサポートするパーソルプロセス&テクノロジーが提供する研修サービスなどを紹介した。