住友林業は2月7日、IHIとの合弁会社「NeXT FOREST」を設立、熱帯泥炭地を適切に管理するコンサルティングサービスを開始した。両社は21年6月にこれらの事業に向け、業務提携契約を締結しており、新会社設立によって、熱帯泥炭地の評価手法の確立や国際的なスタンダード化を目指し、両社が連携して技術を開発していく。出資比率は両社とも50%。代表取締役には住友林業資源環境事業本部の加藤剛氏とIHIの志佐陽氏が就く。
主にインドネシアの熱帯泥炭地を対象としたコンサルティング事業を開始。管理技術を基にサービスを提供すると共に、適切な泥炭地管理を行うAIモデルと地下水位、気象情報をリアルタイムでモニタリングする観測システムの導入を予定。住友林業が構築したインドネシアの熱帯泥炭地における高精度な地上観測システムや2010年にから蓄積した熱帯泥炭地のデータをベースに、IHIが航空・宇宙分野で培ったドローンや人工衛星データの利用技術、気象観測・予測技術を掛け合わせる。
将来的にはCO2排出と森林火災に悩まされてきた植林企業や農園企業などにAIモデルなどの開発導入によって、短期間で適切な管理計画を提案することで、温室効果ガスの排出の削減を図る。また、木材生産の「経済林」と生物多様性や水循環など自然資本の価値を守る「保護林」を設定するなど、住友林業独自のコンサベーションネットワークを構築し、経済性と社会環境の持続を両立する熱帯泥炭地の適切な管理を目指す。
さらに森林や土壌におけるCO2吸収量や炭素固定量を正確に測定し、自然資本の価値を適切に評価することで、生物多様性や水循環の保全、地域社会への貢献といった自然資本としての付加価値を加えた「質の高い炭素クレジット」創出の事業化を目指す。