不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)は11月11日、アジア太平洋地域の商業用不動産投資額をまとめた。それによれば、2024年第3四半期(7~9月)は前年同期比82%増の388億ドルと4四半期連続で増えた。22年以来の最高額。地域全体の投資額は、オフィスと物流施設への投資が半分以上を占めた。年初来(1~9月)の投資額は前年同期比28%増の963億ドルとなった。
セクター別に見ると、賃貸住宅を除くすべての主要セクターで投資額が拡大した。特にクロスボーダー案件は、海外投資家によるオフィスと物流施設に対する強い関心が下支えし、年初来で前年同期比6%増の145億ドルとなった。
日本の同期中の投資額は84億ドルだった。過去最高の訪日外客数を背景とした大規模なホテルポートフォリオの取得が原動力となった。オフィス部門は、東京のAグレードオフィスの空室率が3%前後を推移し、賃料は3四半期連続で上昇した。インフラファンドの資金調達が好調で投資額は132億ドルとなった。
JLL日本キャピタルマーケット事業部リサーチディレクターの内藤康二氏は、「日本は世界で唯一といっていいレバレッジ効果が得られる良好な借り入れ環境が相まって国内外の投資家から選好されている。日銀の金利政策に注意が必要なものの、当面は現状の金融政策が続くと思われ、投資市場は活発化する」とみている。