大阪府はこのほど、住宅・建築物の省エネ化へ向けた複数の事業等を相次いで公表した。在阪建築関係団体と協力し、住宅断熱性能を可視化するツールの開発やZEB事例集の作成を行ったほか、民間企業と協定を結び、ZEH供給の推進にも力を入れる。
今回公表した事業の一つ、「大阪府住宅断熱性能『見える化』ツール」(公式愛称・エコミエル)は、大阪府建築士会、大阪府建築士事務所協会、日本建築家協会近畿支部、日本建築協会の4団体と連携して開発したシミュレーションツール。戸建て住宅及び共同住宅の単室を対象に、新築や断熱リフォームによる保温性能、経済性、二酸化炭素削減量等の効果を可視化できる。
同4団体との連携事業としては、「大阪府内におけるZEBを実現した建築物の事例集」も作成。府内のZEBを実現した府内の開発物件10事例を掲載し、各建築物のコンセプトや基本仕様を始め、技術的ポイントや一次エネルギー計算結果など、専門的な内容も整理、紹介している。詳細な技術情報を広く発信することで、府内事業者における建築物ZEB化に向けた技術導入を促進したい考え。
ZEHの普及促進にも力を入れる。府では、府営住宅の建て替え事業等により創出した土地の売却において、土地利用条件に「ZEH水準の省エネ住宅とすること」等の項目を設けている。今回は、「大阪府営竹城台第3住宅」(堺市)の建て替え事業に伴う活用地について、一般競争入札で落札、売買契約を締結した共同事業者3社(南海不動産、総合地所、積水ハウス)と、府及び堺市で「次世代ZEH供給モデル事業に関する基本協定書」を交わした。同協定に基づき、府、同市、各事業者らで脱炭素の街づくりへ向けた取り組みを推進。28年度末までに、街区全体で戸建て住宅23戸、共同住宅(15階建て)245戸を整備する予定だ。
(画像) 住宅断熱性能可視化ツール「エコミエル」の概要(大阪府公表資料より抜粋)