住友林業はインドネシア・ジャカルタ近郊で現地の不動産開発大手のシナルマス・ランドとの協業で住宅や商業施設などを一体開発する「タウンシップ(複合都市開発)事業」に着手する。同社によるインドネシアでの大規模な複合都市開発は今回が初めて。開発主体は住友林業の現地子会社とグループ会社クルニアスブール・プルマイが昨年12月に設立した合弁会社クルニア・シネルギ・マス。
シナルマス・ランドが1996年から開発を続けてきた、ジャカルタから南東25キロのボゴール県北部に位置する開発面積480ヘクタールの大規模都市開発プロジェクト「コタ・ウィサタ」の隣接地156.5ヘクタールに戸建て分譲住宅約3800戸と店舗併用住宅約300戸を建築・販売すると共に、約110区画の商業用地も整備する。累計約1万1800戸を供給し、開業以来、高評価を維持する「コタ・ウィサタ」との一体開発によって、生活利便性とタウンシップの魅力向上を図る。
住友林業は設計・施工管理技術を提供。ランドスケープ設計などの提案を行うほか、一部施設の木造化など、環境に配慮した開発を推進。建設時のCO2排出量(エンボディドカーボン)や建築物のエネルギー効率、水使用量における現地の一般仕様からの20%以上の削減などを要件とした世界銀行関連機関による建築環境認証「EDGE」の取得を目指す。設計協力に加え、木質建材の選定・調達も視野に、同国で展開する木材建材の製造・流通事業とのシナジーも追及する方針。総事業費は1370億円。年内に販売開始し、2041年までの引き渡し完了を目指す。
住友林業は17年にインドネシアの住宅市場に参入。これまで、計画・開発中の案件を含め5プロジェクト・総供給予定戸数約2100戸の戸建て分譲住宅を始めとする住宅開発を手掛けてきた。同社は24年3月にベトナム・ホーチミン市で約41ヘクタールに総戸数約6700戸を手掛けるなどアジアでの大規模複合都市開発を開始。今回の参画で、インフラやランドスケープの整備、商業施設・学校の誘致など総合的な開発力を強化し、ノウハウを蓄積すると共に、今後はアジア全体へ事業を拡大する方針だ。