24 年には遂に50歳以上の人口が5割を超えるという。その4年前の20年には、後期高齢者の数(1879万人)が前期高齢者の数(1733万人)を超える。せっかく、高齢者が増えるのだから、幸せそうな顔をしたお年寄りが街にあふれたら、どんなにこの国は明るいだろうか。 ▼人は幸せになるために生きている。だから、この世には幸せそうな顔をしたお年寄りが少なくとも半数以上いなければ、おかしい。では、そもそも幸せとは何なのか。それは「幸せになる勇気」をもつことである。仮に今、どれほど困難で苦しい状況にあっても、幸せになることを諦めずに一歩踏み出す勇気があれば、人はその瞬間から幸せになれる。かの有名なアドラーの言葉である。つまり、幸せは何かをつかみとることではなく、生き方そのものなのだ。
▼民法(相続法)改正で、配偶者の長期居住権(所有権がなくても無償で終身自宅に住むことができる権利)が創設された。更に、20年以上連れ添った夫婦であれば、その権利は被相続人が配偶者に対し、そうした願いを持っていたと推定されることにもなった。なんと美しい法改正だろうか。
▼日本人の美意識はモノではなく、移ろう季節や人の心に向かう。人はどう生きたか、死を前に何を覚悟したかに想いを寄せる。その美意識をおのれに向け、淡々と生きていく覚悟を見せれば、それが幸せそうな高齢者の顔になる。