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トップに聞く 積水ハウス ノイエ 出向永典社長 スタート順調、受注も回復 木造軸組で〝積水ハウス品質〟を

 積水ハウスのセカンドブランドを販売する「積水ハウスノイエ」(大阪市北区)。施工を担う積和建設17社のうち、13社の新築木造住宅事業を集約。木造軸組戸建て「パルタージュ」を主軸に2月から営業を開始した。新型コロナウイルスの影響による対面営業の抑制という逆風を越え、受注は回復傾向にあり、7月は前年比で約40%増の実績を示した。同社の現状や展望などを出向永典社長に聞いた。 (聞き手=桑島良紀、構成=古賀和之)

 ――事業展開の方向性は。

 「積水ハウスの家では予算が厳しいお客様に対して、当社は積水ハウスの住宅から必要十分な要素を抽出して在来木造で提供する。積水ハウスと同じ施工会社が同じ基準でつくることで品質が保てる」

 「当社は都心から少し離れた場所で戦略を進めていく。都心も積極的に攻めているが、住宅購入検討者はテレワークでも仕事ができるという感覚を得ており、埼玉県や神奈川県へと、土地と共に家を求めるお客様が増えている。快適にテレワークができる間取りを取り入れて提案していきたい」

 ――受注面はどうか。

 「コロナ禍の中で3月、4月は他社と同じく厳しかった。6月、7月は住宅購入を控えていたお客様が動き出し、前年同月比は超えた。特に7月は40%増だ。これまで、当初予定と比べて90~95%の受注状況であり、順調な滑り出しと考えている」

 ――4月以降、ウェブでの相談が求められたが。

 「非常に効果があった。対面は6、7割の減少を示したが、コロナ禍でも折衝数自体は減っていない。1回でも対面ができれば、その後は図面、予算などの折衝は十分、ウェブで対応できる。3密を回避できる構造現場での折衝も交え、今夏を乗り切ったという実感がある。今後、新型コロナが収束してもウェブでのニーズは増えるのでは」

 ――ウェブ限定での商品は。

 「早急に開発する予定はない。木造軸組なので価格的に大きく変わらない。当社にはお客様と共同でつくり上げていくという思いがある。まずはお客様と会い、双方が人となりを理解し、その後、ウェブならば問題はない」

 ――新型コロナによる顧客の変化、テレワーク対応の要望はどうか。

 「データの分析はまだだが、7月、8月の受注面積が少し増えた。以前は(1戸当たり平均で)110m2だったが、113m2程度に広がっている。当社は5月以降、建て売り計画ではテレワーク用のスペースを用意している。片付けなくてもよく、子供が背後を歩かない、そういうスペースが必要なのだと思う」

 ――重点エリアと、今後の拡大は。

 「関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を重視しているが、地方にも力を入れてバランスよく取り組みたい。対象にしていない北関東や信越は大きな市場、特に新潟は大きい。そうした地域にも地元の積和建設にしっかりとした営業部隊がおり、当社の商品を扱っている。ノウハウ共有化を進めており、進出できる体制は整えている」

 ――今後の商品展開は。

 「商品数ではなく、生活提案を含めた魅力を拡大していく。内装インテリアも更に充実させ、30代、40代前半にヒットするような提案をしたい。積水ハウスの展示場からの情報ではなく、『ノイエ』への指名買いを増やしたい」