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大言小語 今なぜアートか

 マンション共用部に熱い視線が集まっている。最優秀作品をマンション共用部に設置するアーバネットコーポレーションの学生芸術コンペは今年20回目を迎えた。年々応募総数は増え、注目度も高まる一方だ。一方、コロナを機にマンション共用部を活用して自宅、職場に続く「サードプレイス」を提供する新築マンションも増加し始めている。

 ▼建物の共用部に付加価値を付ける試みは、オフィスビルのエントランスやエレベーターホールなどに芸術作品を展示するという最近のディベロッパーの動きでも顕著になっている。早かったのは森ビルで、ここにきて三菱地所や野村ホールディングス、東急不動産などがアートの導入を始めている。なぜ〝アート〟なのだろうか。

 ▼郊外マンションを得意とするフージャースコーポレーションがこのほど、茨城・つくば市に完成させた「デュオヒルズつくばセンチュリー」(総戸数229戸)は、マンション敷地と隣接するつくば市の竹園西広場公園との境をあえてあいまいにすることで〝緑〟で街とつながるコンセプトを実現した。公務員宿舎跡地の開発ということで、当初から官民連携のプロジェクトでもあった。

 ▼〝緑〟を自然のアートと捉えれば、つながることが芸術の役割ではないか。マンション住民と地域のつながり、オフィスビルとそこを訪れる人をつなぐなど、アートには人の心をつなぐ力がある。