リコー(山下良則社長執行役員)によると、同社が提供する360度画像のバーチャルツアー作成サービス「THETA(シータ)360.biz」の契約数が11月末時点で8000社を突破した。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言以降、不動産業界以外からの注目度も上昇し、非対面での営業対応やバーチャル展示会などでの需要が増えたため。20年単年の契約数は、前年比約50%増となる約3000社を見込むという。
同サービスは、14年10月リリースの法人向けクラウドサービス。全天球カメラ「RICOH THETA」で撮影した360度画像を使用し、誰でも簡単にバーチャルツアーを制作・公開できる。実際にその場にいるような臨場感で、非対面による物件確認が可能となる。
接客、追客場面で活用も
従来、不動産業のバーチャル内見で利用されてきたが、コロナ禍で売買仲介や賃貸管理・仲介分野での活用が進んだ。同サービスプロダクト開発チームリーダーの鳥居理氏は、「『あったらいいね』という集客、マーケティングの用途から、オープンハウスや接客、追客など営業場面での代替手段として選ばれるようになった」と説明する。
バーチャルツアーは、ウェブサイトや不動産ポータルサイトに埋め込んで、二次元コードを物件チラシに掲載したり、URLをメールやSNSに添付して案内したりと、接客や営業、追客など幅広いシーンで活用が進む。同社ではカスタマーサクセス部門、プロダクト部門の連携を強化し、「営業フローでより実践的な事例を集めて、横展開していきたい」(鳥居氏)と意欲を見せる。