売買仲介

重説トラブル防止は丁寧で慎重な説明 TLEO虎ノ門法律経済事務所

 TLEO虎ノ門法律経済事務所(東京都港区)は、セミナー「『重要事項説明の最新トラブル事例』不動産取引の現場で起きた説明義務違反のリアル」をオンラインで開催した。

 同事務所弁護士の脇田裕太氏は、「不適切な重要事項説明は、業務上の制裁、債務不履行のほか、場合によっては、不法行為の民事上の責任を負う場合がある。時効は10年~20年で、契約後に時間を経てからクレームが発生する可能性がある。裁判で争う場合に、説明義務の履行は、事業者側の積極的な立証が求められるため、客観的な書面などの証拠化が結論に大きく影響する」と説明した。

 その上で、「単に書面を交付した、または、説明を履行しただけでは、不十分となる。しっかりと内容が相手に理解されたのかどうかを確認する必要がある。書面には、署名・押印の確認欄を設けること。更には、交付資料を一覧表にして、そこにも確認を求める。相手の同意を要するがIT重説の導入活用は、録音・録画で容易に証跡や履歴を残せるため、有用な選択肢になる。最も大切なことは、一貫して丁寧に慎重に説明すること」と解説した。

 同弁護士の山口大介氏は、居室を内見しないで賃貸借契約を締結したトラブルなどの判例を紹介し、「構造上は1階部分でも実際は半地下にある場合や、図面はフローリングでもカーペット敷きの状況、隣接がゴミ屋敷などの事例があった。トラブルに発展したのは、管理会社の撮影写真や説明をそのまま鵜呑みにしたこと。可能な限り、内見してもらう、もしくは、自らも現地調査を実施することでトラブルを防げるケースがある。適切な対応が信頼される要素になる」と述べた。同弁護士の大沼和広氏は、定期建物賃貸借契約での関連判例が最近増えていると紹介した。