アットホームが地場の不動産仲介会社を対象に実施した景況感調査によると、20年10~12月期の業況DIは、賃貸・売買共に2期連続で上昇したものの、前年同期比では首都圏・売買を除いて前年を大きく下回る結果となった。
賃貸仲介における今期(10~12月期)業況DIは、首都圏36.1(前期比1.2ポイント増)、近畿圏34.5(同0.5ポイント増)と2期連続で上昇したものの、その上昇は小幅にとどまった。前年同期比で見ると、首都圏はマイナス8.8ポイント、近畿圏はマイナス8.7ポイントと改善傾向は低調だ。
不動産店からは、コロナ禍では都心部から郊外部への人の動きが活発化している一方、先行きの不透明さから大都市圏の都心部を中心に人の動きの停滞を懸念する声が聞かれた。来期(21年1~3月)業況の見通しは首都圏32.1、近畿圏34.8と横ばいもしくは下落が見込まれている。
売買仲介においても、今期業況DIは首都圏41.4(前期比1.6ポイント増)、近畿圏36.7(同3.5ポイント増)となり、小幅ながら2期連続で上昇した。前年同期比で見ると、近畿圏はマイナス9.7ポイントと改善傾向は低調だが、首都圏ではプラス1.5ポイントと順調に回復している。
不動産店からは、大都市圏の都心部では顧客の停滞を指摘する声が目立つ一方、テレワークの増加や居住環境の快適性を求めて郊外やバス便物件への関心の高まりは継続している様子がうかがえた。ただ、「先行きが不透明なため買い控えが多い」といった声も多く、来期業況の見通しは首都圏38.3、近畿圏35.6と、今期を下回る水準となっている。
同調査は、不動産流通市場の景況感を四半期ごとに調査・分析。14年1~3月期に開始し、今回で28回目。調査は全国14エリアのアットホーム加盟店を対象に、インターネットで20年12月12日~19日に実施。有効回答数1994店。DIは50を境に、それより上なら「良い」、下なら「悪い」を示す。