米国のスターバックスは、来年1月から従業員の賃金を引き上げると発表した。これにより平均時給は1900円になるそうだ。コロナ危機からの景気回復で人材を確保することが目的だという。
▼これだけだと「へー、そうなんだ」と思って終わり。だが、正社員で給与をもらっている人も時給換算することで、自分がもらっている賃金水準がどの程度なのか実感をもって捉えることができる。
▼年間の総労働時間は、完全週休二日、各種休みを考慮するとざっと2000時間。これを基に時給を出すと、年収300万円の時給は1500円。婚活で高望みとディスられる水準の年収500万円で時給2500円だ。米国スタバの従業員と同水準の時給の年収は380万円。社会保険や年金の違いがあるので一概には言えないが、米国のスタバでアルバイトしたほうが収入がよさそうだ。
▼日本の賃金水準が20年間上がっていなかったのにその自覚がなかったのはデフレで物価が上がらなかったからだ。先進国、途上国共に成長し、賃金水準が上がっているのに気付かない〝ゆで蛙〟状態だった。
▼コロナ対策で桁違いの財政政策をとった米国で賃上げにつながった。そうしなかった日本の賃金水準を考えれば、これから何をすべきかは明白だろう。選挙が終わり、来年度予算の議論が本格化するが、思い切った財政出動の議論を望みたい。