トヨタグループのディベロッパーである東和不動産(名古屋市中村区、山村知秀社長)は、東京を中心とした関東圏での展開を本格化し、今後はグループのオフィスや営業拠点、土地などの有効活用策としての複合再開発などに取り組む方針だ。今年秋には、富士スピードウェイの隣地にホテルとモータースポーツミュージアムを開業予定。25年6月頃には、臨海副都心エリアに大型複合アリーナを竣工する計画だ。20年には東京・お茶の水で、トヨタグループなどの大企業とベンチャー企業が交流するイノベーション施設を開業している。昨年は三井不動産出身者を社長に迎えるなど、積極的に事業を推進する体制を整えている。
富士で自動車文化テーマの新ホテル
同社は、「ミッドランドスクエア」(名古屋市中村区)など名古屋を核に、東京、大阪でオフィスビルを中心に事業を展開している。
今秋開業を予定している「富士スピードウェイホテル」(静岡県駿東郡、総客室数120室)は、富士スピードウェイ西ゲートの隣地で、開設予定の新東名高速「小山PA・スマートインターチェンジ(仮称)」から自動車で約3分、東名高速「御殿場IC」から約20分の立地。運営はハイアットホテルズコーポレーション系列が行う。宿泊料金は未定だが、モータースポーツ好きの富裕層をターゲットとしたグレードが高い料金設定を予定。
国内外のレーシングカーを展示したモータースポーツミュージアム「富士モータースポーツミュージアム」をホテルに併設し、自動車文化を発信。ホテルの隣接エリアに、「モータースポーツビレッジ(仮称)」を設置し、プロレーシングチームのガレージやグランピング、温浴施設、イベント広場など家族が楽しめるアミューズメントビレッジを計画している。
一方、大型複合アリーナは、臨海副都心エリアにあったモビリティの体験型テーマパーク「MEGA WEB」(昨年12月末営業終了)の跡地に建設。約2万7000m2の敷地に、スポーツやイベントなどに使用できる多目的ホールとして活用する計画だ。同社が東京で手掛ける本格的なまちづくり事業として、東京都や森ビルなどと協議しながら、エリアのにぎわい創出や魅力づくりの一端を担う。
20年に開業した「axle御茶ノ水」(東京都千代田区)は、全14区画のオフィス、68席のシェアオフィス、約90席のコワーキングスペース、13室のミーティングルームなどで構成。築52年の寮・社宅をリノベーションをした。