売買仲介

東京カンテイ マンション賃貸化率(1) 旺盛な投資需要で渋谷は40%超

 不動産専門データ会社である東京カンテイの協力により、新連載「マンション賃貸化率」をスタートします(月2回掲載)。駅ごとに、新築分譲マンション(過去3年間集計)の中から賃貸物件に出された住戸の比率を算出したもので沿線別に掲載。1回目は東京の「JR山手線」と「JR中央線」です。

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 同社上席主任研究員の井出武氏は、賃貸比率の見方として「10%が目安になるのではないか」と話す。全データを見ると10%を超える駅はそう多くはないため、それを超えると〝投資適性が高いエリア〟と判断できると見る。あくまでも募集ベースのデータだが、安定的に10%を超えているのであれば、「居住ニーズに厚みがあると考えられ、通勤・通学、生活利便性が高く、需要を取り込める」(井出氏)という。東京23区を通る山手線の各駅を見ると半数が10%を超え、居住ニーズの高さがうかがえる。東京は19年、20年が18%台であったのに対し、21年は10%台に低下。これは新規供給が少なかったためと想定される。

 品川が20年から大幅に上昇したのは、大手ディベロッパーによる供給があり、その物件から賃貸事例が出たためと考えられる。渋谷は42%(21年)もの高水準だ。井出氏によると2つの見方ができるという。1つは「投資市場として有望である」こと。もう1つは「既に相当賃貸事例があるので飽和状態」の可能性だ。後者の見方ならば、むしろ渋谷を避けて隣駅で投資したほうがリスクは小さいという判断もある。池袋は平均専有面積が年々縮小しているのが特徴だ。

 東京中心部と郊外を結ぶ中央線は、三鷹が一つの区切り。都心から三鷹までが10%を超える駅が多い。東京メトロも通る四ツ谷は、10%以上の高水準が続いている。立川は2%の低水準。「新規供給が少ないことが影響したのだろう。借り手のニーズはあるエリアだ。本来は5%を超えていても不思議ではない」(井出氏)。