10代の女性経営者が住宅・不動産業界の門を叩いた。ロッテグループのホテル「ロッテアライリゾート」(新潟県妙高市)と連携し、低稼働時に低予算でワーケーションを可能にしたタイムシェアサービス「Resort Workation」のベータ版の提供を開始。近くサービスの本格稼働を予定している。高校在学中に起業した新進の経営者に、不動産に興味を持ったきっかけや将来の目標などを聞いた。 (聞き手・桑島良紀)
―まず、今回の提携に至る経緯を教えてください。
「(経営者である)父が参加している、あるプログラムの関係者の方からロッテグループを紹介してもらった。昨年末に業務提携の話をピッチ(短い時間で、簡潔に提案を伝えること)などをして、ロッテグループも試験的にタイムシェアサービスをやってみたいとおっしゃってくれて4月の提携に至った」
―会社を立ち上げて、「Resort Workation」ができるまでの経緯は?
「以前、父が(独立する前に)副業である事業を行うために会社を立ち上げたが、副業規定の関係でできなかった。16歳のときに勉強のために代表取締役として何かやろうと思った。元々は不動産をブロックチェーン化して小口化し、投資しやすくする事業を考えていたが、許認可を取るハードルが高かった。
事業内容を変えなければならないと考えていたときに、20年12月に行われた、あるビジネスコンテストでカンボジアに向けた旅行商品という課題を出された。その課題に沿って考えたビジネスモデルが今のビジネスの原型になっている。そのビジネスコンテストで全国3位となり、審査員の方々にも評価してもらい、自分でも気に入っていたので、そのビジネスモデルをブラッシュアップして、今の『Resort Workation』につなげていった。
コロナでテレワークが普及し、私自身もN高という通信制高校だったので、こういったサービスがあったらいいなと思っていた。父とアウトレットに行ったときに、たまたま(外資大手ホテルによる高額な)タイムシェアサービスを知った。購入した日数分、世界中どこでも泊まれて、魅力的なサービスだと思った。それで学生や20代の若者も気軽に利用できるものを作りたいと思った」
―ワーケーションに着目したのは?
「ワーケーションの市場規模が拡大するという予想があったから(矢野経済研究所)。それによると、ワーケーションの市場規模777億円が25年には3622億円と5倍近くに拡大するので、参入するしかないと思った」
―そもそも不動産業に興味を持ったきっかけは何でしょうか?
「元々起業に興味があり、学校にも起業部があった。成功しても失敗しても自分に合っているのか判断したかったので飛び込んだ。
父がアパートを所有しているのを見て、将来自分も不動産に積極的に投資できる立場になりたいと思った。高校の投資部で株式投資を経験したが、株に比べて安定している不動産に投資していきたいという気持ちが生まれた」
―今後はサービスをどう成長させていきたいですか?
「世界中のどこのリゾート施設でもオフシーズン中に安く利用できるというコンセプトを育て上げていきたい。外資大手ホテルのタイムシェアサービスは一つのブランドしかないが、多様なブランドを扱うアマゾンのようなタイムシェアサービスを構築していきたい。
今年、高校を卒業してアメリカに留学する。アメリカの新学期が始まる9月までに京都のホテルでアルバイトをしながら、ホテル運営を学んでいる。今は一人で事業をしているが、アメリカで大学に通いながら、事業を拡大するためのパートナーを探そうと思っている」