中古マンションの買取再販事業を主力とするレジデンシャル不動産(東京本社・東京都足立区、さいたま本社・埼玉県さいたま市)は、各都市の中心部ではなくあえて周辺エリアに進出するという独自戦略で売り上げを伸ばす。11月には横浜支店を開設し、全国16拠点となる予定だ。「来期以降はひとまず新規出店は控え、各拠点の底上げに注力する」方針を掲げる内田廣輝社長(写真)に話を聞いた。
――足元の業績は。
「今期(23年1月期)は計画通り、売上高330億円を達成できる見込みだ。販売戸数としては1700~1800戸だろう。中期経営計画では24年(1月期)に380億円、25年(同)430億円、26年(同)に500億円を掲げている」
――事業の特徴は。
「地域密着であることだ。事業スキームとしては、住戸単位で物件を仕入れ、リノベーション工事を行った上で販売している。プラン設計や工事、ホームステージング、アフターサービスまで一貫して自社で行う。物件の仕入れや再生後の販売は仲介会社に依頼している」
「札幌から福岡まで全国に15拠点を構えているが、マンションストックが集中する各都市の中心部ではなく、あえてその周辺エリアを商圏としている。それぞれの拠点の各担当者はそのエリアのマンションすべての価格や特徴などの情報を頭に入れる。それにより、駅から同じ距離の物件でもニーズの強さや違いが分かり、仕入れや販売時に競争力のある価格で取引できるからだ」
――中古マンション市場は都市部を中心に高値が続き、動きが鈍いようだが。
「確かに、消費者マインドも一時期の勢いはない。ただ、市場の浮き沈みは過去に何度もあったこと。想定していたので大きな痛手ではない。競合となる買取再販事業への新規参入企業も増えているが、当社はこれまで同様、地域に精通している強みを生かして事業を展開していく」
――前期は3拠点、今期は既に4拠点を新規開設している。今後の方針は。
「創業10周年を迎え、その間、社員の成長に伴い拠点を増やしてきた。11月には横浜支店を開設する予定で、全国16拠点体制となる。ある程度体制が整ったので、来期からは拠点を増やすことよりも、各拠点の底上げに注力したい。現在はまだ損益分岐点に達していない拠点があり、それを他の拠点がカバーしている状況があるからだ」
――地域貢献活動も積極的だ。
「子供野球教室などスポーツを通じた貢献活動のほか、『子ども食堂応援プロジェクト』として当社の販売物件の案内件数(1件当たり100円)に応じて、その地域の子ども食堂に寄付をしている。これは全国どこでも可能だ。地域密着で展開する当社は地元の人に支えられている。その地域に貢献したい。そしてこの活動は、その地域で働く社員とその家族の幸せにつながると考えている」
(聞き手・井川弘子)