業界団体の理事会や全国大会等が活発に開かれる時期となった。今年度の各種事業を精査し、今後の方針を改めて明文化する動きも盛んに見られている。併せて年末へ向け、政府や中央省庁に対する税制改正・政策要望の活動も本格化している様子だ。
▼先日、ある不動産関連業界団体のトップが、「我々の要望している税制改正が実現すれば、それはこのテーマに対して国が『後押ししている』というメッセージとなり、単なる経済的な優遇にとどまらない促進効果を持つ」と述べていた。まさにその通りで、税の役割には富の再分配だけでなく、社会活動の促進または抑制という面もある。〝アメとムチ〟ではないが、国民の投資を促すためにNISAなどの税制優遇を設け、健康増進のためにたばこに増税を課すといった具合だ。
▼そうした観点から見れば、最近一般の報道等で目にすることの多い自動車関連の課税案や、消費税の増税に関する検討などは、それらを抑制したいのだというメッセージと捉えられてもいたし方ないだろう。具体的な指摘は避けるが、不動産領域においても「国はこの行為を抑止したいのだろうか」と首をかしげる税制度はなくもない。1764年、英国が定めた課税強化策「砂糖法」の歴史的教訓もある。業界も国民も目指すべき社会のあり方へ向け、言論による要望という平和的な手段で、税に対する思いを強く国に示していくことが重要だ。