昨年末にプレハブ建築協会がオンラインで開催した「すまい・まちづくりシンポジウム」は、障害のある人の地域での暮らしに焦点を当て、ダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(包摂)などを尊重したコミュニティの創出に向けた取り組みが紹介された。
▼自立の意味が〝他社に頼らず自力で日常生活を遂行できる〟ことから、〝個人のライフスタイルや日常生活に関する選択の自由やコントロールの自由がある〟状態を指すことに変化しているという。障害を持つ人にとっても、選択肢の幅が広がっているということなのだろう。
▼振り返れば、東京五輪・パラ五輪の影響もあってか、社員として二足の草鞋を履いているパラ競技選手を取材する機会が増えた。一般的なメジャースポーツと比べ競技環境の厳しさを痛感することも多々ある一方で、多様性や取材対象者のバイタリティには毎回驚かされる。更に、最近は、障がい者雇用に取り組む中で、〝できること〟と〝できないこと〟を当事者と二人三脚で探ったり、当事者のコンディションにきめ細かく向き合う一方で、管理職のポジションを用意するなど、選択肢を広げるといった事業者の姿勢に触れる機会も増えた。
▼年始早々の能登半島地震では、厳しい気候の中、〝災害弱者〟である障がい者や高齢者の健康などが懸念される。罹災時の選択肢が少しでも広がっていることを願うばかりだ。