昨夏は、統計開始以来、国内の観測史上最も暑い夏だったはずなのだが、個人的な体感では、今年は不快感も疲労度も、既に昨年を上回っている気がしてならない。年々夏の暑さがこたえるのは、気候変動によるものか、それとも自分の老化の進行や忍耐力の低下によるのか、あるいはこれらの相乗効果のなせる業なのか。昨年までは、コロナ禍で都心部への出社を回避し、消耗を最小限にとどめるすべがないわけではなかったが、いまや平常時に戻り、そうもいかなくなった。
▼振り返れば、大学で上京して初めての夏休みを迎え、商業施設やビルの内外での温度差に驚くとともに弱り果てて以来、早くも四半世紀が過ぎた。「そのうち慣れるかもしれない」などと思おうとしていたが、クールビズがすっかり一般的になり、エアコンの設定温度も以前より高くなっているはずなのに、一向に慣れる気配もない。
▼さて、以前テレビでとあるタレントの「寒くなったら厚着すればいいが、薄着をするにも限度があるので、〝暑い〟人を優先すべき」といった発言していた。暑さの方が耐え難い我が身にとっては、共感するところだ。
▼とはいえ、先進国の中で、日本の一般的な住宅は「冬寒くて夏暑いのが標準仕様」とも言われているという。どうも〝寒ければ着ればいい〟で間に合わせた結果が今日の住宅事情に繋がっているのではないかと思わなくもない。