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大言小語 リノベ×ESG

 老朽化した賃貸物件を環境配慮型不動産にバリューアップし再び市場で流通させる環境配慮型リノベーションファンドが運用を始めた。リノベーションマンションで豊富な実績があるリビタと、11年に創設した「DBJグリーンビルディング認証」を現在、オフィス、物流、商業施設、レジデンスの4つのプロパティで展開している日本政策投資銀行グループによるもので、東京・大田区にある築35年のリノベーションマンションが第1号物件に組み入れられた。

 ▼賃貸住宅市場は、老朽化物件の長期的な増加が見込まれている。この中には管理が行き届かない、あるいは管理不全で競争力が低下していく可能性がある物件が多く存在しており、事故やトラブルの温床となっていくことは明らかだ。現在、賃貸住宅の大規模修繕計画の策定がオーナーや管理会社にとって大きな課題となっている。また一方で新築や持ち家、区分所有マンションと比べると、既存賃貸住宅市場は大規模修繕計画が普及、定着していない上に、環境対応でも大きく遅れを取っているのが実情だ。

 ▼同ファンドは今後、賃貸不動産の追加取得を進めていくことになるが、老朽化賃貸住宅の環境リノベと併せて、大規模修繕計画の普及、定着にもつながる可能性を秘めている。「リノベーション×ESG投資」という新たな融合がサステナブルな賃貸住宅市場の扉をこじ開けることができるか注目したい。