米の値段が高い。品質や銘柄にもよるが、自宅の近所のスーパーで、昨年初めの5キロ2000円台前半の値段が、最近は3000円台後半に跳ね上がっている。安い値段で腹を満たしたい労働者には、米や〝粉もの〟は欠かせない食品の一つでもある。高値の要因として利権や無策があれば、とても納得はできない。
▼せっかく汗水流して稼いでも、食品や商品を購入すると、それ自体の価格ではない消費税の負担が上乗せされる。消費税の廃止は現実的ではないと言われるが、米国・トランプ大統領による日本の消費税は「事実上の関税」との指摘に対して〝外圧〟に弱い日本は、どのように応えるのか。
▼一方で、税金や社会保険料の負担が増すボーダーラインのいわゆる〝年収の壁〟や、高額療養費制度の最近の改正議論を聞いていると、果たしてこの国は、真面目に働く国民の生活を少しは豊かにしたいのか。あるいは、政府を見限った〝亡国の民〟にしたいのか。国民の願いが届かず、いぶかしくなる。
▼もはや〝高嶺の花〟の住まいの購入は夢でも、主食の米は、できる限り安く購入したい。大正時代の米騒動は漁村の主婦たちを発端に全国に広がった。大きな問題や惨事はわずかな兆候、小さなほころび、弱い部分のしわ寄せから表面に出てくる。問題の是正には本質を見なければならない。一見良さそうな新卒初任給の引き上げブームも、金銭解決の表層的な現象でしかない。