制度活用で景気浮揚を
2009年度2次補正予算で、住宅エコポイント制度が創設され、1000億円が予算計上された。
エコポイントは、新築が30万ポイントで、リフォームは上限が30万ポイントとなっている。持ち家、賃貸、戸建て、マンションなどの区別はなく、一定の基準を満たした住宅が対象となる。
エコポイントの発行申請は、新築では、登録住宅性能評価機関などの適合証明書が必要となる。リフォームではメーカーの性能証明書や、施工業者の工事証明書が必要である。
申請はこのほど決定した事務局に対して、工事終了後、原則として所有者が書類をそろえて行うことになっている。 マンション業者のうち、これまでの物件仕様が認定基準に近い業者はエコポイントを積極的に活用する姿勢をみせている。
一方、認定基準を満たすために、高効率給湯器や断熱性能の高い窓を設置すると、30万円をオーバーしてしまうが、その分を価格に転嫁するのは厳しいので、エコポイントに参加しないという業者も出てくるだろう。
大手住宅メーカーでは、エコポイントがムード作りによいとして期待を寄せている。
マンションも戸建て住宅も、30万ポイントだけで消費者の購入動機に決定的な影響を与えるとは業界では考えていない。購入価格と付与ポイントとの間に差がありすぎるからだ。賃貸向け集合住宅では各戸ごとにポイントがつくため、ポイント総数がかなり増える。
また、リフォームではエコポイント対象となるのは窓、壁、屋根などの断熱改修工事だが、現実にリフォームを検討している人にとっては30万ポイントでもかなりの動機づけとなり、需要創出効果も期待できるだろう。
家電のエコポイントでは制度の複雑さから申請しない消費者さえ出ている。複雑な制度であるという印象を払拭することが、とくにリフォームでのエコポイント活用には必要ではないか。実際に所有者が使いやすいポイント制度にすべきである。
このためどのような設備や材料が対象になるのかということの周知徹底を図らなくてはならない。業界団体は個々の企業にまかせるだけでなく、消費者に対して広報活動を強化すべきである。新築では戸建てもマンションもエコポイントという言葉の響きがいいと期待している。
これに住宅金融支援機構のフラット35Sの金利1%優遇(エコポイントよりも効果が大きいとも言われる)や、住宅取得資金の贈与非課税枠拡大をセットにして住宅不況を乗り越える契機浮揚策にしたい。
今、盛り上がってきた住宅版エコポイントは、業界の期待以上に住宅需要を刺激する可能性もある。制度の充実はもちろん、使い勝手も良くしなければならない。政府も住宅・不動産業界も、かけ声だけでなく、消費者に十分理解できるところまで、その活用策を推進していくことが重要だ。