エコポイントで促進を
鳩山由紀夫首相は9月の国連演説で、温室効果ガス削減の中期目標について、主要国の参加による意欲的な目標の合意を前提に「1990年比で2020年までに25%削減を目指す」と表明した。これは麻生前首相が示した2005年比で15%削減する目標の2倍の水準になる。
温室効果ガスとは、大気圏で、CO2やメタンなどが太陽からの熱を地球に封じこめ、地表を暖める働きをするガスのことである。
現在、議論されている温室効果ガスの中ではCO2の影響がもっとも大きいとみられている。
省エネ法が4月施行へ
このような状況のもとで、「省エネ法」(エネルギーの使用の合理化に関する法律)の改正が2010年4月1日から施行される。
主な改正点は、工場、事業場単位から、企業、事業者単位のエネルギー管理に変わったことだ。これまで工場などを有していなかった場合には対象外であったが、改正では工場を有しない場合でも事業者が全体(本社、支店、営業所、店舗など)として1年間のエネルギー使用量が原油に換算して、年間で一定量以上であれば、国に届け出て特定事業者の指定を受けなければならなくなった。
不動産業でいえば、ビル事業者、大規模賃貸業者などの一部が対象になる。
このように国全体で環境保全への取り組みが進む中で、不動産業界でもできることからエネルギー使用量削減に取り組むべき時代がきている。
住宅・オフィスからのCO2排出量は、環境省によると全排出量の34%を占める。また、1990年に比べて4割も増加している。
業界挙げて省エネ目標を
このため景気対策も兼ねて、政府では、国土交通省と経済産業省を中心に住宅版エコポイントの制度化を検討している。
既に家電に導入されているエコポイントは、省エネ性能の高い製品などを購入すると取得できるもので、様々な商品やサービスと交換できる。経済の活性化と地球温暖化対策などを目的に創設された。
住宅版エコポイントは、2009年度2次補正予算の経済対策の柱のひとつとして、省エネ性能の向上を行うリフォームや省エネ性能の高い住宅にエコポイントを付ける見込みだ。
高性能にすればそれだけコストが上がる。しかし、低性能のままであればCO2が減らないので、政策的な後押しはぜひとも必要である。
分譲業界ではまちづくりにエコロジカルな発想を取り入れて自然とつながる住まいづくりを行っている。また街区としてCO2を削減することを目標とした分譲住宅も出ている。これには住宅用太陽熱利用設備の導入やエネルギー一括購入による光熱費節減、建物断熱性能の向上などが寄与している。
しかし、各社各様の対策である。CO2排出量大幅削減のためには、業界挙げての対策が有効ではないだろうか。住宅版エコポイント制度を利用して、業界団体が具体的な共通目標を掲げてはどうだろうか。例えば、業界としてペアガラスの普及を勧めれば、省エネ性能の向上と共にコストダウンにもつながるだろう。個々の業者の創意工夫も大切だが、業界挙げての取り組みがCO2排出量大幅削減には必要であると考える。