3月、「一般社団法人マンションライフ継続支援協会=Mansion Life Continuity Association、略称MALCA(マルカ)」が発足しました。住宅新報13年4月9日号で、〝マンション災害時の生活継続を可能に 支援組織「MALCA」発足〟と報じています。MALCAは訳の通り、「震災時におけるマンションでの生活継続をサポートする組織」です。第1回フォーラムはほぼ満杯。マンション管理業者や居住者のほかに、行政関係者が多数出席していたのが印象的でした。
東日本大震災で倒壊したマンションは1つもなく、「命を守る器」として機能することが改めて証明されました。これは「マンションが災害に強い」という主張の根拠として、十分な事実だと思います。ただ、特に首都直下型地震の『本震発生後』に想像を巡らせた時、現状では難しい問題が横たわっています。
「優先的に放っておかれる」
以前、〝『本当に強い』マンションとは(住宅新報12年1月3日号)〟をテーマに取材しました。マンション防災に詳しい方がおっしゃっていた、「マンションは優先的に放っておかれる」という言葉が印象に残っています。それは、善し悪しの基準で測れるものではなく、ある意味仕方がないといっていい事柄だと思います。ならば、命が助かった「後」を想定して、今のうちに備えておく必要がある。先の協会はその啓発と、マンション住民による「生活継続計画(MLCP)」作成をサポートする人材の育成を、活動内容に掲げています。
この記事をまとめる過程では、武蔵小杉(神奈川県川崎市)の超高層マンションの住民などで構成されるNPO法人による先駆的な取り組みを取材させていただきました。NPOでは『地域共生』というテーマと防災とを一体的に捉え、課題の解決に取り組んでいます。MALCAのフォーラムに多数の行政関係者が出席していた理由も、ここにあると思われます。
エレベーターのない生活
順番が前後しますが、記事では震災時の生活継続が難しいそもそもの理由にも触れています。燃料備蓄についての規制など、恥ずかしながら知らなかったことばかりだったので、取材の過程は驚きの連続でした。それから、ライフラインが遮断された生活の一端を、ほんの少しですが体感する機会もいただけました。
このテーマに特に真剣に向き合う必要があるのが超高層マンションですが、その主な理由はエレベーターの長期停止に対する懸念です。そこで、エレベーターなしの生活をとりあえず想像してみようと、非常階段47階分を往復してみました。感想としては、疲れたというよりとにかく「目が回った」。狭さ、暗さも相まって、気が滅入ってしまいました。それなりに達成感はありましたが(笑)、1回きりで十分です。
震災時におけるエレベーターの長期停止を防ぐ手立てが求められているわけですが、マンション単位で今すぐできることとしては、階段の途中にベンチを置くなどしてみてもいいんじゃないかなあ、と思いました。ただ、あの程度のスペースでは難しそうです。文字通り非常階段であり、日常的に使用することを前提に設計されたわけではないでしょうから、仕方ないと言えますが…。
引き続きこのテーマの取材を進めたいと思います。(編集部K)