ど素人から金持ち大家さんになった人々

第3回 42才で経済的自由を得た元外資系金融マンが「大家さん」になった理由

たかおさんのプロフィール
1966年生まれ、東京都在住、投資家、ビジネスオーナー。
信託銀行、外資系金融勤務を経て、2009年にセミリタイア。
2010年に東京都世田谷区内に8戸の木造アパートを新築後、中野区内に店舗物件を購入。その他、ビジネスオーナーとして複数のビジネスの経営にかかわる。

■ 不動産投資はポートフォリオの一部です

――自己紹介をお願いします。

たかおさん
大阪出身の元外資系金融マンです。18才のとき、ウォール街をテーマにした映画を観てマーケットの世界に進むことを決意、そのステップとして大学卒業後は信託銀行に入社しました。7年勤めたところで、目標だった外資系金融に転職。42才でサラリーマンを卒業しました。

現在はアパート1棟と店舗1戸の家賃、その他に整体院など経営に関わっている複数のビジネスから収入を得ていて、わかりやすくいうと、6つの財布があります。

家賃収入は月に100万円位ですし、不動産はポートフォリオの一部なので、不動産投資家といわれるとちょっと違和感があります。今は、自分にとっての「おもろいこと」を色々やっています、というのが自己紹介になるかもしれません。

――「おもろいこと」ですか。いいですね。退職後に、不動産投資を始めた理由を教えてください。

たかおさん
信託銀行で融資案件などを扱っていたので、不動産投資には元々なじみがありました。一番の目的は、資産の置き換え。自由な時間を得たかったため、あまり手をかけずに定期的な収入を得られる点もよかったです。

――実際に不動産投資を始めるまで、どのように勉強しましたか?

たかおさん
私は何かを始めるとき、最低30冊の本と30回のセミナーを基準に、時間とお金を集中的に投下します。不動産投資のときも同じで、多くの情報を得た中から、「オンリーワン勉強会」という会に入り、東京の城南地域に新築アパートを建てる方法を選びました。利回りやキャッシュフローより資産価値を重視した結果です。

■ 世田谷区の駅4分の土地を任意売却で購入

――どんなアパートを建てたのですか?

たかおさん
8戸の木造アパートです。広いロフトがついていて、2人入居も可能。2010年に完成して丸5年が経過しましたが、順調に運営できています。管理・仲介不動産会社さんには感謝しています!

――土地はどのような経緯で購入されたのでしょう?

たかおさん
購入した世田谷区の駅から徒歩4分の土地は、以前から前を通るたびに「こんな場所にアパートを持ちたいなあ」と思っていた場所。そこを偶然、紹介されたのでご縁があったのでしょうね。任意売却物件で所有者の不動産業者さんの決算の時期だったことから、相場より数千万円安く買えました。

■ いつも10年先のことを考えて行動してきた

――目標のとおりの人生を歩んでいるように見えますが、そうするためのコツはありますか?

たかおさん
私はいつも10年先のことを考えて行動しているんです、ほんとですよ(笑)。信託銀行も「30才で辞めます」と宣言して入社しましたし、行員時代も、他のメンバーが上司と飲みに行く中で、自分だけは異業種や他社の人たちと交流していました。社内で上司の顔色を窺がう同僚とは、見ている方向が全然違いました。

外資系金融にはヘッドハンティングで移ったのですが、この仕事も10年で辞めると決めていて、42才で引退しました。その後は「おもろいかどうか」で進む道を決め、現在に至るという感じです。おかげで、今はやりたいことをしているという充実感がありますね。最近はハッキリではありませんが、次の目標も見えてきました。

――外資系金融マンの頃から不動産投資や、ビジネスオーナーになるための準備をされていたのですか?

たかおさん
いえいえ。当時は、朝5時まで六本木で接待、6時に自宅に帰ってシャワーを浴び、7時には会社で朝の会議の司会をしている、という生活でしたから、そんな余裕はありません。10年くらいはまともに寝た記憶がないですね。会社でも「稼ぎに来ているんだから、私生活なんてないと思え!」と部下に言っていましたし・・・。

ただ、リーマンショックでそれも終わりました。当時は忙しい代わりに、1億円以上稼ぐ人も多かったんです。でも、今はよくて3,000万円くらい。業界も変わりました。

そういえば、当時の職場には物件も見ずにフルローンで数億円のRC物件を買った人が何人もいました。あの時代は外資系金融マン専門の不動産会社がいくつもあって、職場に営業電話がかかってきたんです。中にはリーマンショック後に自己破産した人もいますよ。

■ 投資で失敗するのは自分を天才だと勘違いしている人

――なぜ、お金のプロが自己破産してしまうのでしょうか?

たかおさん
ずっと、いいときが続くというバブル的な幻想を抱いていたんでしょう。儲けているときなら損が出ても節税になりますから、問題はないんです。でも、収入が減って返済額の方が大きくなれば、毎月の持ち出しは金銭的にも精神的にも大きな負担になります。

外資系金融マンは毎日、億単位のお金を動かしていて、数字に強いという自負があるので、そこを逆手に取られてしまう。不動産投資はデータだけではわからないことも多いのに、作り込まれた資料の数字を過信してしまうんですよ。

――投資で失敗する人とうまくいく人の差はどこにあるのでしょう?

たかおさん
うまくいく人がなぜうまくいくかは、正直なところ、わかりません。でも、失敗する人はわかります。それは、自分が天才だと勘違いしている人だと思うんです。ウォーレン・バフェットだって失敗するんですから、謙虚な気持ちがないと足元をすくわれますよね。

私の父親は経営者でした。父から学んだのは、「商売にはいいときも悪いときもある」ということ。ですから、私自身はうまくいっているときも無駄なお金を使いませんでした。父親が銀行で苦労したのを見ましたから、借金もしない主義です。世田谷の土地とアパートも現金で購入しました。

後編:第4回 不動産投資もビジネスも、「人生を悔いなく生きる」ための手段


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