菅井敏之さんのプロフィール
1960年生まれ、山形県出身。大学卒業後、三井銀行に入行。「幸せなお金持ち」を研究した結果、10人中8人が大家さんだったことから、2004年に不動産投資をスタート。2008年に家賃年収が約7,000万円となったのを機に、銀行を退職。2012年に大田区田園調布に『SUGER COFFEE』をオープンした。著書に「お金が貯まるのは、どっち!?」(アスコム)などがある。
■ 銀行に勤めながら6棟74室のオーナーへ
――自己紹介をお願いします。
菅井敏之さん
不動産投資家でカフェオーナーの菅井です。もとは某都市銀行で20年以上銀行員をしていました。2004年に不動産投資をはじめ、4年後に家賃収入が7,000万円を超えたところで銀行を退職。しばらくはセミリタイヤ生活を満喫し、2012年にこの店をオープンしました。毎日、営業時間中はマスターとしてお店に出ています。
――すてきな笑顔から充実した様子がうかがえます。すっかりマスターの顔が板についていて、とても元銀行マンには見えません。
菅井敏之さん
いえいえ、数年前まではアパートローンを売ったり、投資信託を売ったりして、バリバリ働いていたんですよ。ただ、銀行の仕事自体は好きなようにやらせてもらっていました。「出る杭は打たれる」といいますが、「出すぎた杭」になってしまえば、誰も文句はいいません。お客さんにも面白がってもらえたのか、営業成績は入社以来、ほとんどトップクラスでした。
――きっと個性的な銀行マンだったんでしょうね。家賃収入が7,000万円ということですが、どんな物件をお持ちなのでしょう?
菅井敏之さん
東京、神奈川、茨城にマンションを6棟74室所有しています。フルローンで購入したものが大半で、返済比率は55%くらい。間取りはワンルームからファミリータイプまで様々です。いい管理会社に恵まれて、入居率は全体で95%以上をキープしています。そのほかに、4カ所でトランクルームを経営しています。
■「幸せなお客さん」の10人中8人が不動産を持っていた
――不動産投資をはじめたきっかけを教えてください。
菅井敏之さん
銀行員時代に39歳で支店長になり、久しぶりに個人のお客さまをまわったとき、とっても幸せそうな78歳のおばあちゃんに出会いました。この方は毎月300万円以上の入金があって、会うたびに、歌舞伎やらグアムやらに出かけた話を楽しそうにしてくれるんです。一体、何者?と思っていたら、正体は大家さんでした。
これをきっかけに、幸せそうに見えるお客さん10人を分析してみました。すると、10人中8人に家賃収入があり、その中の4人は地主ではなかったんです。「自分のような会社員でも大家になれる」とわかったのは驚きでしたね。そんな影響もあって、不動産投資に興味を持ちました。
――幸せそうなお客さん10人を分析したというのは、面白いですね。
菅井敏之さん
ポイントは、ただの「お金持ち」ではなく、「幸せなお金持ち」という点です。お金があっても、時間に追われていたり、トラブルを抱えていたりして、苦しんでいる人も多くいましたから…。当時は自分自身が支店長になって、「幸せって肩書やポジションと関係ないな」と感じていたこともあり、「幸せってなんだろう」とよく考えていました。
そしてあるとき、「そうか。幸せって、経済的にも時間的にも自由な状態で、好きなように生きることなんだ」と気付いたんです。それで、「自分も不労所得を作ろう」と決めました。 同時期に、ロバート・キヨサキの『若くして豊かに引退する方法』を読んだ影響もあります。それからは、週末ごとに不動産屋さんへ通い、物件探しを始めました。
■ 明大前に「土地から仕入れて利回り10%」のマンションを新築
――投資経歴を拝見すると、菅井さんは最初の物件でいきなり新築を建てたんですね。初心者が新築から始めるのは、ハードルが高いように思うのですが。
菅井敏之さん
最初は、利回り10%以上で築20年以内の融資がつく中古物件を探していたんですが、競争が激しくて、なかなか買えませんでした。そんなとき、業者さんから、「ここなら、新築で建てても利回りが10%出るよ」と割安な土地を紹介されたんです。シミュレーションすると、広めのワンルームでも10%を超えたので、新築から始めることにしました。
――怖さはなかったですか?
菅井敏之さん
当時は新築といえば地主向けで、利回りは5~6%というものが大半。個人で土地から仕入れて、新築を建てた話など聞いたことがなかったので、緊張はしましたね。でも、中古で条件が合うものがないなら、自分で作るしかありません。間口が狭い細長の土地でしたが、明大前駅(世田谷区内にある井の頭線・京王線の急行停車駅)から徒歩3分と立地はいいので不安はあまりなかったです。
――融資はスムーズにおりましたか?
菅井敏之さん
業者さんが某地銀にかけあってくれて、順調に進みました。頭金は1,000万円くらい。その他に、自宅につけていた根抵当権に2,000万円の空きがあり、給料もまあまあだったので、属性は悪くなかったと思います。建物の施工は土地を紹介してくれた業者さんに依頼しました。素人ながら、設計やプランニングには自分も積極的に参加しました。
――経営は順調でしたか?
菅井敏之さん
今でこそ順調ですが、胃が痛くなった場面も幾度かありました。所有する6棟のうち新築は3棟で、残り3棟は中古。高利回りで融資がつくという中古物件を喜んで買ったものの、空室が埋まらず苦労したこともあります。
試行錯誤を経て、自分で手をかけずに満室になる仕組みができたところで、銀行を辞めて独立しました。44歳で不動産投資をスタートして約4年後、48歳でのセミリタイヤでした。
後編:第10回 田園調布のカフェ店主になった元銀行員大家さん
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