不動産会社は知らない!?不動産オーナーの胸のウチ

事故物件は他人事じゃない!賃貸物件の孤独死や自殺、その実情と対応を聞いてみた

――実際に被害を受けたケースは?

「他殺以外は一通り対応してきた。自殺物件では東京・目黒の1Kタイプの賃貸マンションがあった。家主が売り出しづらいといい、知り合いの不動産会社からアプローチを受けて私が購入したものだが、匂いを取り除く特殊清掃やリフォームなどを行い〝自殺物件の痕跡〟を消した。結論から言えば購入時の倍の金額で転売できた」

 

――孤独死や自殺といった人の亡骸の事後対応が大変だと聞く。

「人の腐敗臭は夏だと3~4日で漂い始め、冬季でも10日ほどで匂いを放つ。鉄筋コンクリート(RC)造の建物で玄関から匂いが出るのは死後からかなり日にちが経過している」

「後処理は特殊清掃会社に任せている。匂いを嗅ぐと鼻に残ると言われて現場に踏み込んだことはない。死臭は鼻腔の中に匂いが残って石鹸などで少々洗い擦っても取り除けないようだ。その匂いはドブが腐ったような、なにか独特の匂いで(専門業者や警察など)慣れた人でないと気持ち悪くなるという」

 

――原状回復にはどのような方法が?

「木造はすぐに匂いが外に漏れ出る。腐敗が進めば体液が染み出てしまい虫も発生する。染み出た体液は1階の天井まで染み出てしまい大騒ぎになったケースがある。そのアパート(総戸数8戸)は、孤独死があった部屋の真下と真横の住民だけでなく、被害のなかった入居者も直ちに退去した。そして、100%空室に陥ったころで私のところに相談が舞い込んできたが、専門事業者は特殊清掃でも匂いは取り除けないといい、最終的に建て直す方向となった」

「RCでは畳や布団から染み出た体液が床下まで伝い漏れたとしてもコンクリートで止まり下の階まで染み出ることはない。匂いが付いているコンクリートの表面を削り取り、その上からモルタルを塗って匂いを防ぐことができる。しかし、木造ではコンクリートと違い、匂いや体液が染み込む深度が深く削り取るわけにもいかない」

 

――事故・訳あり物件を想定した管理運営で大切なことは?

「腐敗が進むスピードは速い。一般的なリフォーム会社は原状回復を嫌がり、見積もりは通常の2倍、3倍と断られるような値段をわざと提示したり、過剰リフォームをしたりというケースもある」

「イオン脱臭と光触媒を使い特殊清掃ができる専門事業者を探しておいて、なにかあったらすぐに駆け付けてもらえるようにコミュニケーションを取っておくことが重要だ」

「専門業者ならば余計な対応(工事)もしないだろう。特殊清掃ができない一般的なリフォーム会社に頼むと、しなくてもいいリフォームを施されてしまう。完全リフォームともなれば大家のキャッシュフローに跳ね返る影響は大きい」

「経験上、事故・訳あり物件でも入居者がゼロになることはない。病気による孤独死のケース(生活保護で身寄りなし)では、賃料3.6万円から3万円に下げ募集したところ1週間以内でアジア系外国人の入居が決まった。部屋はキレイなので何の問題もないと意に介さない感じで契約した」

「自殺の場合は賃料の下げ幅はもう少し大きくなるだろうが、賃料水準を下げることで入居者は付くものだ。仮に入居者が付かないのであれば、訳ありの問題ではなくて立地など賃貸条件が影響していると考えていい」

不動産賃貸業にかかわる人間なら、誰でも他人事ではない入居者の死。「たぶん大丈夫だろう」と現実逃避をするのでなく、その時が来たらどう動くべきなのか、事前のシミュレーションをしておくことが重要といえるだろう。

(参照:健美家不動産投資ニュース


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