三幸エステートは6月11日、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のビル市場動向(6月)を発表した。需給バランスの改善が、大規模ビルから大・中型にも広がっていることが分かった。
基準階面積200坪以上の大規模ビルの空室率は4.99%で前月比ほぼ横ばいだった。2カ月連続で5%を下回った。大規模ビル「虎ノ門ヒルズ森タワー」の竣工による現空面積増加は需要増に相殺され、都心5区全体では影響はほとんどなかった模様。
募集賃料(坪当たり)は1万8419円で2カ月連続の上昇となった。同社によると、底打ちの兆しは続くものの、上昇ペースは緩やか。募集条件の引き上げや継続賃料値上げを求めるケースが増えるが、それらの動きは競争力のある物件に限られているという。
大規模ビルに加えて、大型ビル(同100坪以上〜200坪未満)や中型ビル(同50坪以上〜100坪未満)でも需給バランスの改善が進んだ。「大規模」と「大型」の空室率の差は、2011年時点で4.21%だったが、直近では0.27%に縮小した。「中型」との差も6.40%(2011年時点)から3.40%となった。大規模ビルでは一部で品薄感も漂い始め、需要拡大は大・中型ビルへと広がりを見せているようだ。