AI(人工知能)契約審査クラウドサービス『GVA assist』(ジーヴァ アシスト)を提供し、法律事務所を母体に持つGVA TECH(東京都渋谷区)は、『改正個人情報保護法施行後の現状を振り返り、cookie規制等プライバシー保護の未来を考える』と題して、法的視点でプライバシー保護を解説するセミナーを開催し、ウェブで配信した。
講師で、総務省で個人情報保護・プライバシー・通信の秘密の政策を担当した、池田・染谷法律事務所(東京都千代田区)弁護士の今村敏氏は、「特典贈与など金銭的なメリットがあっても、消費者は個人情報を慎重にとらえている。個人情報保護の対応姿勢を重視して企業製品を選択しており、意識が高まっている。単純に製品開発するだけでなくプライバシーの具体的な取り組みを示せなければ、他社との企業間競争で負ける可能性がある。そこに企業側も配慮しているものの、必ずしも万全ではない」と指摘した。
転職サイトの個人情報の流通などによって、「データの提供先で照合すれば個人情報になるデータの保護も、法改正で強化されている。プライバシー保護に関する企業の対応として、プライバシーポリシーの改定や第三者提供の際の同意、安全管理措置や体制の見直し、個人情報の利用目的の詳細化などの相談を受けており、適切に行うこと」と説明。また、「個人情報よりも広い概念であるプライバシーに関しては、技術レベルでも配慮する必要がありプライバシーバイデザインの考え方からサービスの設計段階から法的な視点で構築することが重要。法的な要求事項だけでは正しい対応はできず、従業員教育を含めたプライバシーガバナンスの体制を整え、最新テックサービスの活用と合わせた複合的な取り組みが大切になってきている」と解説した。