不動産開発のデジタルインフラ事業を手掛けるトグルホールディングス(東京都千代田区)は、開発用地に関わる不動産売買取引業務の効率化や売り上げの拡大を支援するサービス「sketch」(スケッチ)の提供を正式に始めた。不動産ディベロッパーと不動産売買仲介事業者との間のコミュニケーションを一括管理して円滑化ができる。また、同社は、VC(ベンチャーキャピタル)を通じて今回、同社は約5・6億円を資金調達した。
新サービスは、市場分析から顧客管理、価格査定、資料作成などの各種機能を搭載している。ビッグデータとAI(人工知能)技術を掛け合わせた多機能により、開発用地の売買取引を最適化できる。
例えば、売り手が同システム上に物件概要書をアップロードすると、最短で当日中に、ボリューム図面や周辺類似物件の取引価格データ、事業計画から逆算した利回り予測などの物件資料が自動で作成される。それらの物件情報や物件資料を買い手側に直接、送信できる。一方、買い手側は、買いたい物件の情報を同システムに入力設定しておくと、ニーズに合った物件情報や投資判断に必要な資料と同時に売り手側から直接届く仕組みを構築している。
これらの物件情報や物件資料を売り手側と買い手側の双方で共有しやすいため、問い合わせや条件面の交渉などをチャットメッセージで容易にスムーズに進められる。
同システムは2023年7月にベータ版の提供を開始し、正式提供を始めた現在までに、土地データ流通総額の換算で既に約1500億円に達したという。
不動産業では現在、不動産テック企業が提供する最新サービスを通じて業務のIT化やDX化が推進されているものの、不動産開発や特に開発用地の流通の場面では、依然としてアナログな営業活動が大半を占めていると同社では考えた。
また、従来の不動産情報交換サービスでやり取りされる物件情報は市場全体の一部に限られている。9割以上の土地流通で不動産ディベロッパーと不動産売買仲介事業者とのマッチング効率を改善できる余地があると判断して、今回の新サービスの提供を始めた。