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三井不動産、DX投資額30年に350億円、人材育成で新制度も

 三井不動産は8月5日、新グループDX方針「DX VISION 2030」を策定した。今年4月に公表した新グループ長期経営方針「&INNOVATION 2030」での事業戦略として、①コア事業の更なる成長、➁新たなアセットクラスへの展開、③新事業領域の探索・事業機会獲得を掲げており、DXは戦略を支えるインフラの一つと位置付ける。

 同日、東京ミッドタウン日比谷で会見を開き、「リアル×デジタル」を組み合わせによるビジネス変革の現状と将来像を紹介するとともに、30年には年間の国内DX投資額を現行の200億円から約350億円に引き上げることを発表した。

 単なる不動産デベロッパーから脱却し「産業デベロッパー」としての展開で社会の付加価値創出に挑むとした。同社の過去10年間の取り組みを踏まえて執行役員でDX本部長の古田貴氏(写真)は、「DXを推進することで会社への貢献度を業績数字に置き換えて表現することは難しいが、人材の量と質によってできることが増えることを実感している」と話す。

 人材育成では、DX本部のエキスパート人材が事業部門へ半年間異動する「ビジネスインターン制度」と、事業部門の人材を選抜してDX本部へ1年間異動させる「DXトレーニー制度」を今年10月からスタートさせる。30年までに社員(総合職・ITエキスパート職)の25%を不動産とデジタルの双方を理解した「DXビジネス人材」を育てる。研修費用として累計10億円程度を見込んでいる。

 業務の効率化では、社内の独自データと連携する生成AI環境を内製化して今年9月から利用を開始する。25年度からは、生成AIと従来型のAIテナント企業を組み合わせてテナント企業の課題解決サービスなどの提供も予定する。