不動産証券化協会(ARES)は9月19日、三井住友トラスト基礎研究所と共同で実施した「不動産私募ファンドに関する実態調査」を発表した。今回で5回目。アンケートを163社に送付し93社から回答を得た。調査時期は今年7~8月で6月末基準。それによれば、国内の不動産私募ファンドの市場規模は、私募リートとグローバルファンドを含めて38.6兆円と推計した。前回調査の23年12月末時点から約3.6兆円増加した。増加率は前回のプラス4.8%から10.1%に回復した。
24年上期は、マイナス金利政策の解除が迫っているとの観測の下で、不動産の供給側であるデベロッパーなどの事業会社が売却・資金回収を急いだ可能性があるとした。半面、欧米の不動産市場の不振を受けた海外投資家が日本の国内の不動産を売却する動きは一服感が生じた可能性を指摘。エクイティ投資家の意欲は引き続き堅調だとした。
24年上期に物件を取得したとの回答は74%と前回から6ポイント拡大した。一方、物件を売却したとの回答は38%と前回から2ポイント増えた。
プロパティ別に見ると、住宅とホテルの増加が前回に引き続き目立った。オフィスは、国内外の投資家とも悲観的な見方が和らいでいるとした。今後注力したい物件は、オフィス、ホテル、物流施設と続き、ホテルが物流施設をわずかに上回った。
運用資産額ベースでの投資エリアは、「東京23区」(46%)が半分近くを占め、「首都圏」(31%)と合わせると8割弱に上る。「近畿圏」は14%、「地方圏」が6%だった。
向こう1年以内に組成予定のファンドは、インカムを重視する長期安定型のコア型が6割超と最も多い。売却など積極的な利益追求型のオポチュニスティック型も12%と前回比7ポイント増加した。