不動産テック協会(東京都渋谷区)は、業界マップ部会をオンラインで開催し、防犯カメラや衛星画像、XR(仮想現実)の各技術を軸とした最新の不動産テックサービスを紹介した。
アジラ(東京都町田市)は、同社で提供しているAI(人工知能)警備DXサービス「AISecurity asilla」について、「当社の強みである行動認識AI技術を生かし、既存のカメラを替える必要がなく、専用サーバーを設置するだけで、AIが防犯カメラ映像を解析する。施設内での迷惑行為や長時間の滞留、禁止区域への侵入を検知する。また、車イス利用者や、転倒など体調不良の状態、特許を取得した違和感のある状況や忘れ物、不審物、ベータ版の提供では炎や煙も検知し、迅速に対応できる。今後は、来場人数のカウントなど、特別なセンサーを用いずに建物内やトイレの混雑状況、来場者の性別や年齢層などの属性も可視化する取り組みを強化していく。建物管理や警備の人手不足の対策を支援する」と紹介した。
Penetrator(東京都文京区)は、衛星データから特定の不動産をピックアップして不動産取引を高度化する同社提供のSaaS「WHERE」について、「当社は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)発のスタートアップ企業で、月面の衛星データから窪みのクレーターを解析する技術を応用して開発した。衛星データとAIを掛け合わせ、その画像から空き地や建物をピンポイントで特定して状況を可視化する。不動産ビジネスの源流である特に、土地の仕入れ業務で活用できる。不動産物件情報は人脈から得る情報が7割を占めるとの調査結果があるが、AIを活用して土地仕入れの優良な候補地を簡便に選定できる。土地や物件に関連する広さや状況、規制要件、ハザード情報、人口動向や統計情報、権利関係、土地評価額も同時に提供する。仲介事業者を介さず、コストや時間も掛けずに、直接に物件オーナーにアプローチできるようになる」と紹介した。
アップフロンティア(東京都渋谷区)は、同社で開発するスマートフォンアプリの活用事例について、「眼鏡タイプのAR(拡張現実)グラスを用いた商業施設や観光施設の場内案内で、現実空間と仮想現実空間を融合させた世界観を実現できる。特にパッケージサービスの『Diorama Vision』は、ARグラスを用いて目の前に3D(3次元)の都市空間を再現し、観光地の建物・施設情報の提供や、お薦めの観光ルートなどを提案できる。応用例として、新築分譲マンションの周辺環境を3Dジオラマ化すれば、売買仲介営業担当者は、物件情報の提供だけではなく、周囲の街並みや環境についても直感的に分かりやすく、エンドユーザーに説明しやすくなる。また、浸水マップ機能も提供しており、想定した浸水状況を表示し、防災対策にも役立つ」と紹介した。