道路は誰が主役なのか。わが物顔で突っ走る車に人は追いまくられ、自転車やミニバイクも車道の邪魔者扱いにされた。結果、自転車は歩道を走り回り、右折できないミニバイクは横断歩道を引きずる有様だ。本来、人車が共存するのが道路だったはず。「人は右、車は左」でお互い注意しながら通行することを運転免許の教本は書いている。
▼現実に、幹線道路はともかく、住宅街などでは通学の子供たち、お年寄りの自転車やバイク、通勤や配達の車が仕切りのない道を一緒に、注意を払いながら通行している。車が幅を利かすようになったのは高度成長で経済、効率至上主義になってから。自動車用の道が拡幅され、他は後回し。歩道がないまま、未だに大型トラックが警笛を鳴らして走る危険地帯も各地にある。だが、高度成長期は過ぎ去り、少子高齢化、低成長の中で新たな仕組みを構築する時を迎えた。至らなさを点検して対応する。道路交通にとって大きな転換点とも言える。
▼警察庁が遅まきながら、高齢者や子供連れを除く自転車を原則、歩道から閉め出す方針を打ち出した。人身事故の多さに重い腰を上げたもので、危ない目に遭ってきた歩行者にとっては朗報だ。自転車が車道を走ることを嫌がる車もいるが、元々の原理原則である。まち中では人車と軽車両が共存する、本来の姿に戻る。それぞれが互いに気遣うことで、心の豊かさや地域の絆にも結びつく。大いに結構なことだ。