今年度上半期の不動産業の倒産は20年ぶりの低水準だった。同期における倒産件数は149件、負債総額は前期比27.4%減の912億円2500万円で、倒産件数、負債額が共に大きく減少した。倒産件数は20年ぶりの過去最低を記録。負債総額も23年ぶりに1000億円の大台を下回ったという。
▼23年前の90(平成2)年は、ちょうど90年代バブルが崩壊した年とされる。バブル崩壊が明らかになるのはそれから数年先のことだ。好景気に酔いしれて、その先にデフレ不況という長く暗いトンネルが待ち構えていることを案じるものなどいなかった。
▼「1億総不動産屋」と騒がれた当時の不動産業の勢いを示す指標がある。例年、10月に実施される宅地建物取引主任者資格試験だ。20日に行われた今年度は約18.6万人が試験に臨んだが、平成2年度は過去最高の42万人の受験申し込みがあり、受験者も34万人を数えた。狂乱地価に沸いたバブル景気が空前の宅建ブームを巻き起こした。
▼バブル絶頂期の住宅・不動産業は、斜陽化しつつあった重厚長大産業に取って代わる基幹産業として大きな期待がかかっていた。その後の景気低迷や地価下落が長引き、期待の声もいつしか聞かれなくなってしまった。しかし、ここまでの間も、デフレと向き合いながら国民の生活や産業・経済を底辺で支え続けてきた産業であったことは明らかだ。