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大言小語 顔の見えない関係

 もう、30年近く前になる。愛知県の山猿だった当時の自分にとって大都会の横浜で、進学のために新生活を始めた。4畳半・風呂なし・共同トイレ。嫌でも、隣人たちと顔を合わせる下宿生活。テレビや冷蔵庫、洗濯機はなく、ラジカセと布団だけを持ち、それでも、ぜいたくに感じた。念願の一人暮らしだから。

 ▼レオパレス21が先週、一人暮らしで新生活を始める学生や社会人を対象とした意識調査を発表した。新たに購入したい家電機器は「パソコン」、次いで「テレビ」「電子レンジ」「洗濯機」「炊飯器」と続く。全体の7割がこれらの「新品」を望んでいるようだ。

 ▼全ての家電製品が卒業生からの「お下がり」だった自分と比べると、隔世の感だ。また、新たに始めたいことの1位は「ダイエット」だそうだ。奨学金で学費を支払い、生活費を稼いだアルバイト先の「賄い」だけで一日分の食事を済まし、ガリガリだった自分とは、大きく違う。

 ▼同調査によると、隣人になってほしい芸能人の男女1位は「高橋一生さん」「石原さとみさん」だ。自分を振り返ると、次に住んだアパートで、執拗かつ悪質だった新聞勧誘員を撃退してくれる隣人が欲しかった。当時は、退去するまでまったく会わなかった「管理会社」という存在すら知らず、誰かが警察を呼んでくれた。今でも「顔」の見えない管理会社は、あるのだろうか。