「令和」が発表され、巷では連日、新しい元号の話題でもちきりだ。令和元年が迫る中、約60年にわたり皇室報道に携わるジャーナリストから話を聞く機会があった。興味深かったのは、皇室と森林資源との関係だ。
▼昭和25年から毎年続く植樹祭は、それを象徴する行事の一つで、「国民の森林に対する愛情を培う」ことを目的に開催されてきた。春に天皇・皇后が全国各地で開かれる植樹祭に出席され、「お手植え・お手まき」と呼ばれる行事が行われる。秋になると皇太子と皇太子妃が、植樹され成長したそれらの木の枝打ち等を行う育樹祭も、昭和52年から毎年行われるようになった。
▼これらの行事が続いている背景には、古来より自然を敬い、森林資源を大切にされてきた皇族の姿勢と深い関わりがあると同氏は言う。文化財としても非常に貴重とされる修学院離宮や桂離宮などの森林資源を使った数々の皇室財産は、歴代天皇のもとで森林の大切さが脈々と受け継がれてきたことを物語っていると指摘する。
▼今年は6月に愛知県で70回目の節目を迎える植樹祭が、12月には沖縄県で育樹祭がそれぞれ予定されている。いずれも多くの国民が参加し、地元企業をはじめ開催地と縁のある組織が多数協賛するイベントとして定着している。近年、自然災害が絶えなかっただけに、自然の豊かさをより多く実感できる時代が、「令和」であってもらいたい。